第4章 すれ違い
~三人称~
陽奈子が奥へ下がるのを確認すると、しのぶはスマホを取り出し、誰かに電話をかけた。
「すみません、突然。今少しよろしいですか?」
『おー、どーした?珍しいな、お前が電話してくるなんて』
電話の相手は宇随だ。
「ちょっとご相談したいことがありまして…」
『なんだよ?』
「陽奈子さんのことです」
『…やっぱりな。昨日のことで落ち込んでんだろ?』
「さすがです。そうなんです。どうしたらあのお二人を近付けさせることが出来るんでしょうか?」
しのぶは陽奈子の顔を見てすぐに気づいた。
いや、あのことがあったすぐ後から様子が変だったことには薄々気付いていた。
自分一人ではどうしたらいいか分からず、二人の気持ちを知っている、宇随に相談した。
『あいつらホントに鈍いからなー…俺も困ってんだよ。』
「少し背中を押してあげた方がいいでしょうか?」
『うーん、そうだな。でも俺達が仕組んだことで、あいつらぎくしゃくしねーかな…?』
「それは、どうでしょうか…私は煉獄さんの方は問題ないと思います。ですが、陽奈子の方が心配です。」
陽奈子が傷付きやすいのはよく知っていた。
落ち込みやすいことも。
だからと言って、このままにするのは黙って見ていられない。
世話好きの二人だからこそ、そう思い立った。
『…あいつ、変に頑固だからなー。自分がこうだって思ったら、絶対曲げねーし。ま、なんとかなるだろ!成り行きに任せようぜ!』
「…そんな適当なこと言っていいんですか?私達のせいで状況が悪化したらどうするんです?」
『俺に任せておけよ!考えがある。これは煉獄に頑張ってもらわねーとだけどな!』
そう言いながら話を進めていった。