第4章 すれ違い
~夢主side~
ガタガタっ
「む、危ない!」
杏寿郎の叫び声が響く。
ガタッガタガタガガタンッッ!!!
数秒の間があってから木材がすべて倒れる。
「…び、びっくりした…」
目の前には倒れた木材達
と、同時にたくましい腕に支えられていることに気付く。
「あ…」
「おい、大丈夫かァ?」
私は近くにいた不死川さんによって支えられていた為、転ばずにすんだ。
「…す、すみません。ホントにごめんなさい!!」
慌てて体勢を戻し、周りに謝る。
それと同時に見たくないものを見てしまった。
「む、大丈夫か胡蝶?」
「…少し驚きましたが、大丈夫です。ありがとうございます、煉獄さん」
木材はしのぶちゃん目掛けて倒れたのだ。
それを庇うように、杏寿郎がしのぶちゃんを抱き寄せるような格好になっていた。
「…っ!…」
仕方がないこと。助けるためにやったこと。
自分がしてしまったことで今この状況が生まれているんだ。
でも
でも
やっぱり、やだ。
相手が誰であっても…
やっぱりやだよ、杏寿郎…。
いつの間にか、自分の嫉妬心が強くなっていることに驚いた。
「宇随さん、本当にごめんなさい。」
倒してしまったことを謝ると
「怪我がなくてよかった、お前ホントにドジだな!」
そう言って笑ってくれた。
「あ、ははは…すみません。」
「陽奈子も怪我がなくてよかった!」
そう言ってこっちをみる杏寿郎。
さっきのことがあったからか、思わず目を逸らしてしまった。
「…う、うん。ごめんなさい。しのぶちゃんも…ごめんね?…不死川さんもすみませんでした、気を付けます。」
その後しのぶちゃんと少し見て回ったけど、全然内容が入ってこない。
「陽奈子さん?聞いてますか?」
「は、はい!?ご、ごめん。何…?」
「もうそろそろお店に戻りましょうか、と」
「あ、はい。お邪魔しました。」
私は足早にその場を後にした。
早く、ここからいなくなりたかった…