第4章 すれ違い
それから数日が経った。
今日からフラム2号店の仕事に入ることになった。
「じゃ、そんな感じの段取りでよろしくお願いします!」
宇随が皆に指示を出す。
俺たちの会社の他にも、下請けで何人か来ていた。
「煉獄、今日胡蝶達も少し覗きに来るってよ。」
「…そ、そうか。」
未だにこの間のことを引きずっていた。
俺らしくない…
不死川にも、陽奈子にもあの日のことを聞けずにいた。
「…はぁー、ったく、しっかりしろよ!」
バシッ
「…っ!」
宇随に背中を叩かれ、渇を入れられる。
「まだ、あいつが好きなやつは、はっきりと分かってねーんだ(お前だけどな)。お前にもまだまだチャンスはある」
「…う、うむ!そうだな!ありがとう宇随、やはり持つべきものは友だな!」
気持ちを切り替え、仕事に戻る。
暫くすると、宇随に案内され陽奈子達がやってきた。
「すみません、宇随さん。お仕事中なのにお邪魔してしまって…あ、これ。皆さんで召し上がって下さい」
そう言って胡蝶は宇随に紙袋を渡していた。
「おー、わりーな!おーい、そろそろ休憩するぞ!」
「杏寿郎、お疲れ様!はい、どうぞ!」
そう言って紙袋の中身を渡してくれた。
そのまま他の人にも配って歩く。
俺の大好きな笑顔を見せながら…
どうしてだろう、他人に陽奈子が笑いかけるのがとても…もやもやして仕方がない…
「はい、宇随さんもどうぞ。」
「おう、ありがとよ!あ、陽奈子、その辺気を付けろよ、コードがあるから!」
宇随がそう言うのと同時に…
「えっ?…!お、っととと!」
陽奈子がコードに引っ掛かりよろける。
ガタガタっ
その拍子にコードが木材に絡まり、立て掛けていた木材が倒れ始める。
「む、危ない!!」