第4章 すれ違い
~煉獄side~
陽奈子をデートに誘ったが、先約があり断られてしまった。
だが、その後に宇随から買い物に付き合ってほしいと言われ、街を歩いていた。
「フラムの新店舗、俺らはいつ頃から入れそうだ?」
「うむ、先方の話だと、来週末くらいには入れそうだと言っていた!」
仕事の話をしながら歩く。
「そうか、んじゃ早くしてやんねーとな!陽奈子も楽しみにしてるみてーだしよ?」
とニヤニヤしながらこちらを見る
「…うむ。そう、だな…」
「なんだよ?なんかあったのか?」
少し言葉に詰まる俺を宇随が覗く
「実は…」
と、先日あったことを話す
陽奈子は、富岡にはメニュー開発を任された話をしていたが、俺には未だに話してくれてはいない
「うーん…そんな深く考えることでもねーんじゃねーの?富岡は料理のこととか詳しいから、あいつが頼ってんだろ」
「そ、そうだろうか…よもや、陽奈子は富岡のことが…」
「(いやいや、ねーから!あいつが好きなのはお前だよ)それはねーよ。多分、あいつから見たら富岡は兄って感じだろーし」
そう言われ少しホッとするが、まだもやもやと胸の支えが取れない。
そう思っていると、ふとある店に目がいく。
【和菓子バイキング】と大きな幟が立っていた。
「和菓子のバイキングなんて珍しいな!不死川のやつ、ひょっとしたら来てるんじゃねーの!?」
ふざけながら窓の外から店のなかを眺める。
「…お、おいおい!ホントにいたぞ!しかも、女と一緒じゃねーか!!」
と宇随が指差す方へ視線をやると
「…あれは、陽奈子…?」
「え?あいつらそんなに仲よかったか?!」
宇随もまた、驚いている。
何を話しているのか分からないが、とても楽しそうにしていることは確かだった。
家に帰ってから、ずっと先ほどの光景がぐるぐると頭の中を回っている。
宇随は「なんか理由があるだけ」と言っていたが、本当にそうだろうか?
陽奈子が優しいのはわかっているが、親切で買い物を引き受けるだろうか?
そもそも俺が誘ったときに少し困ったような顔をしていたのは、不死川との約束が入っているのが言いにくかったからなのでは…?
よもや…陽奈子は富岡ではなく、不死川のことが…
とにかく悪いことばかり、考えてしまった。