第4章 すれ違い
『…この間の礼だ、でけェ声出すなようるせェ、で?行くのか行かねェのか?』
「行きます!」
不死川さんとの電話を切り、手帳に予定を入れる。
「和菓子バイキングなんて行ったことないや!楽しみだな!」
なんてご機嫌で新メニューの続きに取りかかった。
不死川さんの誘いから数日
いつもの通り仕事を終え、自主練をしているとドアベルが鳴る
視線を向けると、そこには杏寿郎がいた。
ドキッ
「頑張っているな!今少しいいか?」
「う、うん。どしたの?」
そう首を傾げて聞くと
「陽奈子が土曜日休みだと胡蝶から聞いてな!よかったら、一緒に出掛けないか?」
その言葉に嬉しくなったが、先約を思い出す。
先約のことを言えずにしていると
「予定が入っていたか?」
「折角誘ってくれたのに…ごめん」
謝ると杏寿郎は少し眉を下げながら
「気にするな!また誘う!では、また!練習頑張るのだぞ!」
そう言って店を出ていってしまった
「一緒に…出掛けたかったな…」
そう呟いた。
そして土曜日
家を出ると、アパートの前で不死川さんが待っていてくれた。
「あ、不死川さん、おはようございます!すみません、待たせちゃって!」
「別に待っちゃいねェよ」
「楽しみですね!和菓子バイキング!」
話をしながら目的地に向かう
そしてお店に着くと店員さんが席に案内してくれた
お皿を持って和菓子を取りにいく。
「うわぁ!全部おいしそう!すごい種類ですね」
不死川さんの方に顔を向けると、少し離れたところで何かをお皿に盛っていた。
「あ、あれは!!」
そこには【老舗のおはぎ】と小さな幟に書いてあった。
「(あ、なるほど。これに誘った理由はおはぎが食べたかったのか…不死川さんらしいな)」
そう思いながら自分も気になるものをお皿に盛り、席に戻る。