第4章 すれ違い
~煉獄side~
夜の日課になりつつある、ランニングをしていると富岡を見かけた。
「富岡!珍しいな、こんなところで会うなんて!」
話かけると、少し眉間にシワをよせ
「何か用か?」
と罰が悪そうに返してくる。
「いや、用は特にないが富岡とこの時間に会うのは珍しいと思ってな!」
「陽奈子を駅まで送って来た帰りだ。」
そう言うと先に行ってしまう
「…陽奈子…を?ど、どういうことだ!?」
なぜこの時間に富岡と一緒なのか気になり、先を歩く富岡を追いかけて問いかける。
「お前は聞いていないのか?」
「む!?何をだ!?」
「あいつが新店舗の新しいメニュー開発を頼まれていることをだ。」
何も知らない情報に固まってしまう。
「む、むぅ…何も聞かされてはいない…そ、そんな大役を任されたのだな、すごいな陽奈子は!」
「そうだな。あいつは昔から人一倍努力家だ。それを周りが評価したのだろう。任されて当然だろうな」
陽奈子を昔から知っている富岡にもやもやしてしまう。
「うむ!俺もよく見ているが、そうやって努力して頑張っている姿はすごく素敵だ!…そして、すごく可愛いと思ってしまう…」
最後の方になると恥ずかしくなり、声が小さくなってしまう
すると富岡が目を見開く。
「…今、何て…?」
「い、いや!なんでもないぞ!では、俺はこれで失礼する!!」
思わず口に出してしまったと、誤魔化すようにその場をあとにした。
富岡がその場に立ち尽くしていることが分からずに…
「(…そうか…煉獄は…)」