第4章 すれ違い
「あ、ありがと…ごめんね?私、単純作業苦手だからこんな時間までかかちゃった」
"余ったから"と分かりやすい嘘をつく優しい義勇さんに申し訳ない気持ちでいっぱいになり、時間が掛かってしまったことを詫びる。
「別にいい、気にするな。食わないのか?俺が貰うぞ」
と言ってお皿を自分の元に引き戻そうとする
「た、食べます!!いただきます!おいしそう!」
お腹が空いていたのを思い出し、出されたしょうが焼きを頬張り、空腹を満たす。
「んー!やっぱり義勇さんが作るごはんはおいしいね!」
「そうか」
短い返事をすると何やら紙を出してきた。
「何これ?」
「俺が考えた案だが、これを基に新しいメニューを考えるといい。今日はもう帰れ。」
と、メモを渡してくれた。
見ると義勇さんらしい達筆な文字で、いくつも案が書いてある。
「え!?書いてくれてたの!?ありがとうございます!!助かるよー、さすが義勇さん!」
「役に立てたようでよかった」
ふっ、笑う義勇さん。
余り普段から笑わないから、不意打ちだとドキッとしちゃうもんだな…
ご飯をご馳走になってから、駅まで義勇さんが送ってくれた。
「本当に家まで送らなくて大丈夫か?」
「うん!大丈夫です!義勇さん明日の仕込みあるでしょ?私は大丈夫だから!今日はホントにありがとう!あと、これからお世話になります。頼りにしてるよ、お兄ちゃん!」
ふざけてそう言うと
「こんな妹を持った覚えはない」
と冷たく言われ、がーんっという顔をする
「ふっ、お前は本当に面白いな。気を付けて帰れよ」
そういって私の頭を撫で、来た道を戻っていった。
「(杏寿郎にも同じこと、言われたっけ…)」
そんなことを思い出しながら、家路に足を向けた