第4章 すれ違い
一番頼れるお兄ちゃんの元へ。
「…なんで俺なんだ。」
「お願い義勇さん!メニュー開発なんてやったことないし、義勇さんならお店してるから知識豊富でしょ?それに家だと必要な器材とか揃ってないし…前みたいにここかしてください!」
と頭を下げる。
「…はぁ。しょうがない。別に手伝ってやってもいいが、条件がある」
「ありがとう義勇さん!…条件?」
承諾してくれたことに感謝し、その条件が何かを聞く。
「この山積みのコースターに店の判子を押すことと、そこの袋に大量に入っている割り箸を箸入れに入れる作業だ。」
目の前には山積みの無地のコースター。
カウンターの下には袋に入った大量の割り箸。
「うわ…すごい量じゃん。なんで私に?だって玄弥くんいるじゃん。」
こういう単純作業は苦手だ。
「条件が飲めないなら、メニュー開発の話はなしだ。それに今日は定休日だから玄哉は来ない。」
「そ、それは困ります!やります、やりますよ!やらせていただきますっ!もー、意地悪だな義勇さんはっ!!」
そう言うと少し微笑んで「黙ってやれ」と言った
作業をしているとつい、睡魔が…
うと…
うと、うと………
「寝るな」
と後ろから頭を叩かれる。
「ね、寝てません!!」
「これでも飲んでいろ」
コーヒーを出してくれた。なんだかんだ言って義勇さんはすごく優しい。
「……お、終わったーーーー!!!」
最後のひとつに箸を入れ終わり、万歳をしながら叫ぶ。
「いちいち大きい声を出すな、戯け者。」
「…すみません。終わったのこっちでいい?」
そう言うとカウンターにあげる。
「あぁ、助かった。ありがとう」
厨房を覗き込むと何やら仕込み中のようだ。
生姜と醤油の香ばしい、いい匂いが鼻をくすぐる。
「うーん、いい匂い!!明日の仕込み?」
そう聞くと、義勇さんは無言で私の目の前にそれを出す。
「え?」
「もう夕飯の時間はとっくに過ぎているぞ、食べていけ。」
時計をみると20時になるところだった。
「もうこんな時間!?ご、ごめん気付かなくて…」
「…別にお前のために作ったわけではない。材料が余っていただけだ。」