第4章 すれ違い
「…いや、残念だけど今日は来ねーな。向こうとの打ち合わせ時間かかりそうって言ってたからな。」
そう言われてしょんぼりしてしまう。
「…そ、そうですか。あ、注文何にします?」
杏寿郎に今日は会えないと思うと残念だが、仕事だし仕方がない。
「悪かったな、俺だけで」
宇随さんがいたずらっぽく笑いながら私に言う
「な!ななんですか?!べ、別に悪くなんてないですよ?!」
「(おいおい。こんだけこいつも分かりやすいのに、なんで煉獄のやつ気付かねーんだよ…どんだけ鈍いんだよこいつら…)ふーん?あ、俺今日はナポリタンで!」
宇随さんの注文を受け、厨房にオーダーを持っていく。
「胡蝶」
「はい、なんでしょう?」
「お前は気付いてんだろ?あいつらのこと」
「あら、では宇随さんも?」
離れていたけど、そんな会話がうっすら聞こえた。
なんだろう?と疑問思いながら、仕事に戻る。
夕方になり、今日は練習をお休みにして帰ることにした。
駅に着いて歩いていると、前にまたもや不死川さんの姿を見つける。
よく会うな…と思いながら、朝のことが気になったので走って声をかける。
「し、不死川さん!!」
「あァ?」
振り向きながらにらみを聞かせる目が相変わらず怖い
「っ!あ、えっと。子猫ちゃん、どうでした?」
「おー、特になんともねェ。環境が変わって少しストレス溜まってるかもしれねェとは言われたけどな…」
そう言いながら少しほっとしたような表情でゲージの中の子猫ちゃんを見つめた。
「そうですか。よかったですね!何ともなくて。あ、子猫ちゃんの名前、聞いてもいいですか?」
聞くと不死川さんは真っ赤になって視線を逸らす
「…っ、……ぎ…だッ!」
声が小さくて聞き取れない。
「え?すみません、きこえなか…」
「おはぎだっつってんだろォ!!」