第4章 すれ違い
「まだオープンは未定ですが、この設計図で話を進めて行きたいと思います。多少手を加え無くてはいけない所もあるので、そこは煉獄さん達にお願いしました!」
杏寿郎の名前が出ると、ドキッとしてしまう。
「そ、そうなんだ…」
あれから杏寿郎とは一回も会ってない。
メールでやり取りする程度だし、お互い時間も合わないでいたのだ。
「…そう言えば、今日煉獄さん達がお店にくるそうですよ?」
そうしのぶちゃんが言うと、つい嬉しくなってしまう
「え、そうなの?!お昼かな?」
「そうですね、2号店のお話も兼ねて来るそうです」
杏寿郎に会えると思うと、自然と頬が熱くなった。
「(…あらあら、陽奈子さんもやっと自分の気持ちに気付いたようですね。)」
熱くなった頬を両手で覆っていると、しのぶちゃんと目が合う
「どうしました?(わかりやすいですね)」
「な、なんでもない!あ、そろそろお店の準備をしないとね」
そう誤魔化すようにオープン準備を始めた。
仕事中、時計を頻繁に見て時間を気にしてしまう…
いつ杏寿郎が来るか、ドキドキしてしまって仕事が手につかない。
「(いやいやいや!!ダメダメ!集中しなきゃ!)」
そう思っているとドアベルがなる。
杏寿郎かな?と入り口を見るとそこには宇随さん、しかいない…
「あら、宇随さん。いらっしゃいませ、煉獄さんはご一緒ではないのですか?」
「おぅ、あの物件のことで他の業者と打ち合わせだ。ホントは不死川がいく予定だったんだけどな」
不死川さんの名前が出て、朝のことを思い出す。
「(杏寿郎来ないんだ…仕方ないよね…)」
宇随さんが私を見つけてすぐに声をかけてくる
「おー!陽奈子!この間はいいの、見つかったか?」
「あ、はい。お陰様で!あ、車を貸していただいてありがとうございました!」
ぺこりとお辞儀すると「礼なんていい、こっちはいいもの見せてもらったしな!」と言っていた
「あ、あの…杏寿郎は、これから…来ますか?」
少しでもいいから会いたくて宇随さんに聞いてみる
宇随さんは少しきょとんとすると、何かを察したようにニヤニヤし始めた