第3章 優しさに触れて
~夢主side~
「ところで、これは何なんだ?」と杏寿郎が勝手に開けたことにより、流れ出てきたもの達。
「…私、片付けが苦手で……ものを捨てることが出来ないの。勿体無いとか思っちゃってさ…」
バレてしまったからにはしょうがない。
正直に説明する。
「雑誌も本も、弟が昔描いてくれた絵とか、友達からもらった手紙…数えきれない程色々あるんだけど…」
すると杏寿郎は腕を組み「う~ん…」と何か考えている。
あまりのすごさに驚いたよね…
引かれちゃったかな…と心配していると
「では、代わりに俺が片付けてあげよう!」
何を言うかと思えば、この人はなんて優しいの!!
「いやいやいや!!だめだよ!そんな買い物にも付き合ってもらったのに、そんな片付けまでなんて!」
「俺は片付けが得意だ。だが、料理はあまり得意ではない。」
「え?」
「足りないところを補い合うというのも、生きていくには必要じゃないか?それに役に立ちたいのだ」
そう言って微笑むと片付け始める。
「…(やられたー。今のは反則だよ…)じゃ、お、お言葉に甘えて…」
「うむ!素直でよろしい!陽奈子は支度があるだろう?こっちは俺に任せておけ!」
そう言うと黙々と作業を始めた。
「ありがとう。(初めて素を出せた、のかな?こんなの誰にも言ったことない)」
キッチンに戻るとお夕飯の準備に取りかかった。
しばらくしてご飯が出来たので杏寿郎に声をかける
「杏寿郎、ご飯出来たよ!」
そう言いながら片付けをしてくれてる杏寿郎のところに行くと…
「…うわ!すごいきれい!!何これ!?うわ、見易い!!」
ごちゃごちゃっとしていた物置が綺麗に整頓されて自分の部屋とは思えない程、片付いていた。
「うむ!片付けをしていると気持ちがいいものだ!片付け概があったぞ!」
うっ、最後のはちょっと傷つくよ…
と思いながら、お礼を言って席に着くよう促す。
「はい、座ってくださーい。飲み物はお茶でいいかな?」
「うむ!ありがとう!すごく上手そうだな!」
目をキラキラと輝かせ、子供のような顔をする杏寿郎。
「(ふふ、可愛い…)はい、どうぞ。それでは…」
「「いただきます!」」
二人揃ってご飯を食べ始める。
いつも一人だから、杏寿郎と一緒に食べるご飯はとっても美味しいし、嬉しい…