第3章 優しさに触れて
~煉獄side~
ソファを持ち、陽奈子に問い掛けると「わー!私も持つよー!!」と、手伝ってくれる。
「とりあえず、ここに置こうかな!ありがとう!座って座って!!今何か飲み物…わっ!!」
ドテっ
躓いて転んでしまったので慌てて駆け寄ると
「だ、だだ大丈夫!!」
と顔を赤くして立ち上がり、キッチンへ向かう
陽奈子の行動に目をやっていると、何をしても可愛いと思ってしまう。
自分の足に躓いて転んでしまう、そんなそそっかしいところも堪らなく可愛い。
あぁ、見ているだけで幸せだ。
陽奈子の部屋は1DKだろう。キッチンは対面式なので、陽奈子がカチャカチャとお茶の準備をしてくれている様子が見える。
ふと、部屋を見回してみる。
これが女の子の部屋なのだろうか…
緊張と嬉しさで気が付かなかったが、なんだろうか…とてもいい匂いがする。
「お待たせ!はい、どうぞ。」
そう言ってお茶を出してくれる。
「じゃ、杏寿郎はくつろいでて?私、ご飯作るから!」
と、エプロンを取り、キッチンに立つ身支度をする。
「(よもや…新妻のようだ!!お、落ち着かん…)」
またもや緊張してしまい、そわそわする。
ふ、と物置だろうか?ドアの隙間から紙みたいなものが出ている。
気になって近づいてみる、とそれに気付いた陽奈子が声をあげる
「うわー!だめだめだめー!!!」
勢いよく止めに入る陽奈子。
ドアの前に両腕を広げ立ちはだかる。
「む…何か見られてはまずいものが…?」
「い、いや!?な、何もないよ?!」
明らかに怪しい。
そんなに焦った姿を見ると、何があるのかと気になって仕方がない。確かめたい。
「…ふむ。そうか…では…」
と、戻ろうとする、振りをする。
「…ふぅ…(焦った)」
バンっ
俺は戻る振りをしてドアを勢いよく開けた。
バサッバサバサー!
それと同時に何かが雪崩のように崩れ落ちてきた
「ああぁーーーー!!!!杏寿郎ぉーーーー!!」
陽奈子にすごく怒られた。
「もー!女の子の部屋を勝手に物色するなんて!!」
「す、すまん、出来心でつい…」
陽奈子は腕組をし、そっぽを向いて怒っている。
が、その姿も可愛いと思うのは黙っておこう。
「本当に悪かった。…ところで、これは何なんだ?」