第3章 優しさに触れて
~夢主side~
宇随さん達と別れて、ソファ選びに戻る。
結局、私は最後に見たソファにすることにした。
店員さんに声をかけ、お会計を済ませる
「では、受け取り口にお持ちしますので、30分後程経ちましたら受け取り口にお越しください。」
店員さんにそう言われ、時間が少しあるので杏寿郎に「お茶でも飲んで待ってようか?」と持ち掛ける。
「うむ。少し休むとしよう。確か1階に休憩スペースがあったな?そこで何か飲もう」
「うん。さすがに広いから少し疲れたね、楽しかったけど!」
下に降りて自販機の前へ
「杏寿郎は何がいい?」
と、財布を取り出す。
「いや、ここは俺が出そう」
と、杏寿郎も財布を出してくる。
「いやいや!ダメだよ!!車出してもらったお礼だから!こんなで申し訳ないけどさ。」
せめてものお礼と言って、何とか杏寿郎には引いてもらう。あまり納得のいってない顔をしていたけど、押しきった。
「陽奈子は本当に頑固だな。そう強く言われては折れてしまうな!」
「昔から頑固だったんだよね。無駄に…こうと決めたら絶対に曲げなかったもん!」
昔からの私の性格は周りからもよく言われる程頑固者。それで友達と喧嘩になることも結構あったっけ…
「そういえば、さっき。」
私が杏寿郎に問い掛ける。
「あの…えっと、む、胸。見たでしょ?」
杏寿郎が真っ赤になり慌てる。
「!!いや、見て…ないと言ったら嘘になるが、見るつもりはなかったのだ!すまん!」
少し目を細目ながら杏寿郎を見る
「…エッチ。」
「よ、よもっ!!本当にすまない!!」
全力で頭を下げる杏寿郎。
「…ふふ。冗談だよ!別に怒ってない。」
すると、少しほっとしたようにため息をついた。
「…はぁー、頼むからやめてくれ…(嫌われてしまったかと…)」
「ごめん、ごめん!つい意地悪したくなっちゃって。あ、この傷ね…」
手を胸に当てて、ここにある傷だよと強調する。
「火傷の後なの。」
「…そ、うなのか…?」
杏寿郎は火傷をした理由を聞いてもいいのだろうか?と少し不安そうな顔をしている。
「…ふ、ふふ。あははっ!!もー、そんなに真剣な顔しないでよー!」
「よ、よもや!なぜ笑うのだ!?」
少し顔を赤くして、杏寿郎は立ち上がる。