第3章 優しさに触れて
~煉獄side~
手をついて座面をチェックしている陽奈子を見ていると、ふと胸元が見えてしまっている。
「よ、よもっ!!ん…?」
思わず凝視してしまったが、陽奈子の胸の谷間辺りになんだろうか…?傷…?火傷のような跡がチラッと見える
「これも座り心地よさそうだよー!」と顔を上げるので思わず目を反らしてしまった。
「どしたの?」
首を傾げ不思議がっている陽奈子に、正直に話す。
「…そ、そのっ、む、むむ、胸が…見えてしまっている…」
すると、一気に顔を赤くして「ごめん!!お見苦しいものを…」と言った
「いや、別に見苦しくはないが…いや!深い意味はないぞ!?」
慌ててしまって何を言っても誤解されそうだ…と、困っていると、また後ろから声をかけられる
「よー、煉獄、陽奈子。いいのは見つかったか?ニヤ」
この状況を楽しむかのように笑って話しかけてきたのは宇随だった。隣には女性がいた。
「宇随さん!!こんにちは!と、えっとそちらは?」
「おぅ、俺の彼女。まきをって言うんだ、仲良くしてやってくれ!まき、こっちが煉獄で、そっちが陽奈子。」
それぞれの紹介をしてくれる。
「いつも天元がお世話になってます。あなたが噂の陽奈子ちゃんね?よろしく!噂通り、すっごく可愛いっ!」
まきをと言う女性は陽奈子の手を握り、ぶんぶんとふる。
「え…う、噂!?ちょっと宇随さん!どんなこと話してるんですかー!!」
「別になんも話しちゃいねーよ。ところでお前達、それは何のつもりなんだ…?」
それ、と指差すのは俺達の格好だろう。
「うむ!すごいだろう?打ち合わせしてないのだぞ!?心が通じ合っているのだ!」
ぐっと握りこぶしをつくり、顔の前で握る。
「はいはい、よかったですねー」
棒読みで宇随が言う。
「ところで宇随さん達はどうしてここに?」
陽奈子が疑問を投げ掛ける。
「あ、俺達か?実は俺達そろそろ同棲始めようってなって、家具の下見に来たわけよ。ま、違う下見も兼ねてだけどな!」
違う下見とは…俺達のことか!?
「同棲するんですか!?お、大人。」
「(毎日好きな人と居られる、と言うわけだな。うむ、実に羨ましい環境だ!!)」
そんな会話を少しして、宇随達は「またな」と去っていった