第3章 優しさに触れて
「(うわー、なんかドキドキするよー!!)あ、空いてて、よかったね?」
「うむ!ちょうどよかったな!出入り口から近い」
車を降りてお店へ入る。
中は本当に広くて丸1日じゃ見切れないほど、商品が並んでいる。
「うむ、ソファは2階だな!こっちだ陽奈子。」
エスコートしてくれる杏寿郎。
なんだかホントにデートみたい…
2回に着くと、2度目の驚き。
「うわぁー!すごいいっぱいあるね!あ、これいいかも!」
エスカレーターを降りたとこで早くも目ぼしいものを見つける。
「うむ、一人暮らしにはちょうど良さそうだな!何色がいいんだ?」
「うーん…特に色は決めてないんだけど…派手じゃなきゃいいかな?」
そう言いながら他のも見てまわる。
陽奈子はソファに座ったり寝そべる真似をしてみたり、自分の部屋に合うソファを探す。
「あ、これもいいなー!」
座ると程よく反発が合ってしっくりくる。
「杏寿郎も!ほら、座ってみて!」
ポンポンっ
ソファに座るよう、手で合図すると「…む、うむ。」と少し遠慮がちに隣に座る。
「ね?いい感じにしっくりこない?これにしよっかなー?」
なんて言ってるとお店の人が声をかけてくる
「そちらの商品、大変人気の商品なんですよ!特に若いカップルの方々に!お二人で座るにはちょうどいい大きさですしね?どうです?こう、目の前にテレビがあって、お二人で映画をご覧になってる感覚で座ってみては?」
と、ニコニコの営業スマイルで話しかける。
いや、カップル…ではないんだけど…
周りから見たらそんな風に見えるのかな、私達って?
杏寿郎は嫌じゃないかな…
「う、うむ!!二人で座るには申し分ない!!」
「(いや、否定しないの!?)ちょ、杏寿郎!」
恥ずかしさでいっぱいになり、店員さんから逃げるようにその場を後にした。
「ごめん、引っ張っちゃって!」
「(陽奈子は恋人同士に思われるのが嫌だったのだろうか…)大丈夫だ!」
ふぅ、っと一息つき目の前のソファに目をやる。
「お!?これもいいなー!」
背もたれの後ろに周り、座面を手で押してみる
顔をあげて杏寿郎に「これも座り心地よさそうだよー!」と言うと、咄嗟に目を反らしてしまった。