第3章 優しさに触れて
~夢主side~
「小雨だけど、雨はやだねー。折角のお出掛けなのに…」
「うむ。それは仕方がない。誰も天気には逆らえないからな!」
道中他愛もない話で盛り上がる。
少しドキドキしてるのはなんでだろう?さっき走ったから…?
そう思いながら運転する杏寿郎を見る。
「(うわぁ、初めて運転してる杏寿郎みたけど、大人って感じするー!)…かっこいいね。」
杏寿郎がカッと目を見開いてこちらを勢いよく見る
「なっ!」
「え、杏寿郎!前見て、前!!」
「す、すまん!だが、陽奈子が変なことを言うからだろう!?」
少し顔が赤く見えるのは気のせいかな?
さすがに女の子にかっこいいなんて言われたら照れちゃうか。
「ごめん、でも本当にかっこいいよ?車を運転してる男の人ってなんかかっこよく見えるじゃん?あ、もちろん運転してなくても杏寿郎はかっこいいよ!」
「…よ、よもや!(それは真に受けていいのか?!)」
「そういえば、この車はどうしたの?」
「宇随にお願いして、会社の車を借りたのだ。少し汚れているかも知れない、すまん。」
そう言って謝る杏寿郎。
「え?!いや、全然きれいだよ!?汚れてても私気にしないし!」
「だが、服が汚れてしまうだろ?」
気遣ってくれてるのか、なんだか逆に申し訳なくなる。
「いや、なんかごめんね?色々…」
「俺は気にしていない!陽奈子と出掛けられて嬉しいからな!」
それは友達としてだろうか?それとも異性として意識して…
いや、そんな分けないか。誰にでも優しい杏寿郎だもんね。
「そ、そか。ありがとう。宇随さんにもお礼言わなくちゃ」
しばらくすると目的地に着く。
「ここだな!俺は初めて来るんだが、陽奈子は来たことあるのか?」
「ううん!私も初めてなんだ。ネットでみたけど、ここ広いよね!いっぱい揃ってそうだね!」
移動中にどこの家具屋に行くか話していて、検索してここが一番良さそうだったのでここに決めたのだ。
車を停めるために空きスペースを探すと…
「あ、あそこ空いてる!」
杏寿郎は「うむ!そこに停めよう!」と言うと車をバックで駐車する
左手が私の背もたれに置かれると、ドキッとする
そのまま杏寿郎が私の方に顔を向けると、目線は左後ろを見ながら車を停める。