第3章 優しさに触れて
~煉獄side~
時間より早く着いてしまった…
邪魔にならないように端に寄せて車を停める。
昨日は緊張と楽しみでほとんど眠れなかった。
そういえば、陽奈子の私服は改めて見るのは初めてだな…
前の歓迎会の時は、ほぼ制服みたいなものだったし…
どんな格好をしてくるのだろうか?
そうだ、着いたと連絡を入れるべきだろうか…
そんなことを考えていると、バックミラー越しに可愛らしい彼女が歩いてくるのが見えた。
「!!」
急いでドアを開けて陽奈子を出迎える。
「陽奈子!こっちだ!」
そう名前を呼ぶと、嬉しそうに微笑みながらパタパタと小走りで近付いてくる。
あぁ!なんて可愛らしいのだろうか!
このまま受け止めて抱き締めたい気持ちを抑え、助手席に乗るよう促す。
「おはよう!お迎えありがとう!待ったかな?」
そう言いながらシートベルトを締める。
「いや、俺もついさっき着いたところだ。連絡を入れるべきだったか?」
「ううん!大丈夫!あ、れ?」
陽奈子が急に驚いた顔をする。
「どうした?」
「いや、だって…ほら!見て!」
そう言うと指を自分と俺に交互に指す。
見ると私服がすごく似ていた。
「ペアルックみたいだねー!本当に偶然!すごいね私達、以心伝心って感じ?ふふふー」
とても嬉しそうに話す陽奈子にこっちも連れて笑ってしまう。
*陽奈子の私服は刺繍が施してある白のロンTに薄手のオレンジっぽいカーデ、ボトムスはデニムのワイドパンツでシャツをイン、くつはスニーカー。
*煉獄さんの私服は白のロンTに薄手のオレンジっぽいカーデ、ボトムスは少しゆったりめのデニム、くつはスニーカー。
「こんなこともあるんだな。俺達は似ているのかも知れんな!さて、行くとしよう!」
「しゅっぱーつ!」
子供っぽく陽奈子が言うと、アクセルを踏み込み車を走らせる。