第3章 優しさに触れて
翌朝
今日はオフだから遅めにアラームをセットしていたはずなのに…
仕事に行く日より、早く目が覚めてしまった。
「うーん…目を閉じても眠れない…起きよ。」
まだまだ時間はたっぷりあるので、久しぶりにコーヒーを豆から挽いて作ることにした。
淹れたてのコーヒーを飲みながら、今日の服を選ぶ。
ふ、とつけていたテレビから天気予報が聞こえてくる
『今日は全国的に雨が降るでしょう』
「雨か…少し肌寒いかな?…薄手のカーデ着てこうかな」
服を選び終えると、顔を洗ってメイクをする。
「お出かけだから、いつもよりはしていこう」
いつもの仕事メイクはまゆ、アイシャドー、マスカラぐらいの本当にナチュラルメイクだ。
「今日はプラスでアイラインと…チーク、リップティントも!」
上機嫌でメイクをし終えると、今度は髪をセットする
アップにしてルーズなお団子。さりげなく後れ毛も出す。
一通り支度を終えてもまだ時間はある。
「うーん…朝ごはんでも作って食べていこう」
いつもはコーヒーマシンで作ったコーヒーとヨーグルトくらいしか食べないけど、時間もあることだし…
朝ごはんを作りながら、今日2杯目のコーヒーを落とす。
「杏寿郎、起きたかな…?」
朝ごはんの支度をしながらそんなことを考えているとスマホが震える
「杏寿郎かな?」
なんの期待かわからないが、なんとなく彼で合って欲しいと願いながらチェックする
「あ、やっぱり!」
思わず笑みが出る
『おはよう!陽奈子はもう起きたか?今日は生憎の雨だな。また後で』
寝坊なんてしないのに、心配性だな杏寿郎は!
なんて思いながら、口角が上がる
『おはよう!起きてたよ!ありがとう、また後でね!』
送信を終えるとなんだか焦げ臭い。
「あー!!私のパンがー!!!」
杏寿郎のメールに夢中で、焼いていたパンを焦がしてしまった。
「うわー、真っ黒…こりゃ食べれないな。粗末にしちゃってごめんよー、パン。」
なんて謝りながらゴミ箱へ。
主食はなくなったが、他のものがあるので、朝ごはんを食べることにした。
そして気がつけばそろそろ約束の時間だ。
「よし!杏寿郎とお出かけ、楽しみー!」
鏡で姿をチェックし、ルンルンで家を後にした。