第3章 優しさに触れて
「!?ど、どうしたの?何か…」
「休みはいつなのだ?」
気持ちを抑えつつ、平常心を保つように言い聞かせながら問いかけてみる
「え…っと、次は…あ、明日!しのぶちゃんがたまにはって日曜日オフにしてくれたの。何かあるの?」
よもや、なんとラッキーな!!
「そ、そうだな。明日の予定はもう入れてあるのか?」
「特に何にも…あ、でも家具が欲しいのがあってそれを下見に行こうと思ってたの!ソファがほしいんだけど、なかなかいいのがなくて…」
宇随、ありがとう!!感謝する!!!
「ご、ごほん…お、俺が一緒に行こう!」
「え?いいの?でも、折角の休みなのに、私なんかに…」
「俺が陽奈子の役に立ちたいのだ!良ければ車も出そう。明日欲しいのが見つかったら、俺が部屋まで運んであげよう!」
そう言うと満面の笑みで「わぁ!ありがとう杏寿郎!助かる!」と答えてくれた。
「あ、ごめん!ホントに行かなきゃ!!また後で連絡するねー!またね!」
そう言って走って買い出しに出掛けていった。
「(あぁ、神様、仏様。俺は一生分の運を使い果たしたのだろうか…本当にありがたい。)宇随に連絡をしておこう!車も貸してもらわねば…」
ぶつぶつ独り言を呟きながら、軽い足取りで家路についた。
「と、言うことで、明日車を貸してもらえないだろうか!?」
『…うるっせー、どんだけ舞い上がってんだよ!もうちょっとボリューム落とせ!鼓膜破れるわ!!』
帰って宇随に電話をすると事情を説明して車を貸してもらうようお願いをする。が、嬉しくてつい声を張ってしまう。
「すまない、つい…」
『まー、よかったな!お前、運使い果たしたな!』
別にそれでもいいのだ!
少しでも陽奈子のそばにいられれば…
『じゃ、今日のうちに取り行くか?その方が動きやすいだろ?』
「うむ!ありがたい!会社で待っていればいいか?」
『おぅ、そうしてくれ。じゃまたあとでな』
電話を切り、車を借りるために家を出た。