第3章 優しさに触れて
それから宇随によるデート講座が行われた。
「…つまり、1日一緒にいるのか!?」
「いや、普通そうだから。俺の場合はそのまま泊まって朝帰りとか普通にあるけどよ!ニヤ」
「あ、朝帰り!?よ、よもやそんなこともあるのか…」
「いや、付き合えば普通に身体の関係だってあるだろ」
「か、身体の関係…!?……そ、そうか、そんなことも普通にあり得るんだな…」
陽奈子と恋仲になった時を想像すると、今すぐにでも会いたくなってしまう
「おい、何想像してるか知らねーけどニヤニヤすんな若干引く…」
宇随の声に引き戻され、恥ずかしさが込み上げた。
「す、すまん、つい…」
「ま、考えてることが早く現実になりゃいいけどな!あ、そーいやこの前陽奈子が家具が欲しいけどいいのが見つからねーって言ってたな。」
「家具?テーブルだろうか?」
「なんだろうな?ちょうどいい都合が出来たじゃねーか。家具選び手伝ってやれよ!会社の車貸してやるから、デートがてら行ってこい!」
「う、うむ!ありがたい!そうさせてもらう!だが、なんと言って誘えばいいのか…?」
帰り道、デートに誘うにはどうしたらと考えていた。
『自分で考えて誘った方が、ちゃんと伝わるだろ。自分で考えろ』
そう宇随に言われたのだが…
「(どうやって誘おうか…)」
そんなことを考えていたら、ちょうどフラムの前に来ていた。
「(直接、誘った方がいいだろうか?その方が表情がわかっていいだろうし…)」
カランカラン
「じゃ、行ってきます!」
店のドアが開いて陽奈子が出てきた。
「あれ、杏寿郎?どしたのー?あ、その格好はランニング?あ、昨日はありがとね。楽しかった!」
急に会った俺を見て、陽奈子がコロコロと表情を変えながら話してくる。
そんなところもすごく…可愛くて堪らない!!
抱き締めたくなる…いや、嫌われてしまうのでやめておこう!
「杏寿郎ー?おーい?」
俺の顔の前で手をヒラヒラさせながら覗き込む。
「…!!す、すまない考え事をしていた。陽奈子はどこへ行くのだ?」
お店の制服を着ている。休憩か?
「買い物頼まれたの!あ、行かなきゃ!ごめんまたね!!」
そう言い、陽奈子は俺の横をすり抜けようとした
ぱしっ
咄嗟に腕を掴んでいた