第2章 好きの違い
~煉獄side~
「…っ!!!」
宇随を見ると「だから言っただろ」と呆れた顔をしていた。
「お仕事お疲れ様でした!あ、杏寿郎。この間はありがとう!差し入れ美味しかったです!」
陽奈子がまた迷子になるのではと心配で家から出てきてしまった。結果、鉢合わせた。
でも俺の家に陽奈子が来るのを知っていることに気付いていない様子だった。
本人はサプライズ成功!とでも思っているようだった。
「う、うむ!きょ、今日はどうしたのだ?!」
わざとらしく聞いてみる
すると、陽奈子は紙袋を差し出して
「この間、私が汚しちゃった服を届けにきたの。あとこれは…差し入れ返し?持ってきました!」
小さな袋をカサッと揺らし、ニコニコと笑ってみせる
「(っ!!直視できん、宇随どうすれば…)」
と、宇随に目配せすると「幸せ者か、ばーか」と言われる。
「あ、でも宇随さんいると思わなくて…2つしか…」
「あー、いい、いい!俺はもう帰るところだったからな。じゃあな、煉獄。陽奈子!なんかあったら俺のとこに電話しろよ!」
陽奈子の会話を遮り、宇随は俺を置いて行ってしまった。
「(よ、よもや!話が違うだろ!二人っきりにするとは言ってなかっただろう!?)」
「…行っちゃったね。なんか私、お邪魔だったかな?ごめんね、連絡しないで急に来ちゃったから…」
申し訳なさそうに眉を下げて、俯く陽奈子。
「そ、そんなことはないぞ!?ちょ、ちょうど用が済んだので帰るところだった。謝らなくても俺は気にしていないぞ?連絡があってもなくても、こうして来てくれたことが嬉しい。」
すると、ぱぁっと表情が明るくなり「よかった!あ、お家お邪魔しても、いいかな?」と、聞いてくる。
陽奈子が家に上がることを想定して部屋は綺麗にしておいた。
がちゃ
部屋のドアを開け、先に陽奈子を家に入らせる
「お、お邪魔しまーす。」
靴を脱いで、上がり「適当に座ってくれ」と部屋に通す。
すると陽奈子が「部屋すごく綺麗だね!なんか杏寿郎っぽい」と興味津々で辺りを見回す。
「今、お茶を入れてくるから、気になる本でも読んでいてくれ」
そう平常心を装い、キッチンにお茶を作りに行く。
「(目を合わせられん!)」
「…手伝うよ?」