第2章 好きの違い
~夢主side~
今朝干していた洗濯物を畳んでいると、スマホがピカピカ光っていることに気づいた。
「…あれ?杏寿郎かな?」
メールを開く。
『心配を掛けてすまない。具合は悪いわけではない、だが、心配をしてくれてありがとう!おやすみ』
よかった。具合が悪いわけではなかったようだ。
「明日、杏寿郎の家に行くなら何か買っていこうかな?」
そんなことを考えながら、返信メールに『それならよかったよ!明日もお仕事頑張ってね、おやすみなさい!』と打ち込み、送信した。
次の日、お店の準備をしているとお店のドアベルがなる
カランカラン
「あら、伊黒さん。おはようございます」
しのぶちゃんが挨拶すると、ちょっと不機嫌な顔をする伊黒さん。
「そんなあからさまな顔をしないでください、失礼な方ですね。甘露寺さんなら今日はお休みですよ?あ、それ。」
しのぶちゃんが指を指す。
「あ!ありがとうございます!お手数をお掛けしました」
頭を下げてお礼をいい、綺麗に畳まれ透明な袋を受けとる
伊黒さんは、どうやら蜜璃ちゃん目当てに届けに来たみたい。
しのぶちゃんの情報だと、二人は両想いなんだって。
ただ、気持ちがお互いに上手く伝えられないでいるみたい。
早く二人の恋が成就するといいな…
そう思いながら、今日もお店が始まる。
そして気が付けばもう夕方になっていた。
「お疲れさまでした。気を付けて帰ってくださいね?」
しのぶちゃんに見送られ、お店を足早に出る。
スマホを取り出し、昨日送ってもらった住所をナビに入れてそれを頼りに杏寿郎の家を目指す。
「(無事に迷わず着きますように…)」
歩いているとナビがこの辺と知らせる。
「(あ、なんだお店から真っ直ぐ歩けば着くのか。さすがにこれなら迷子になることはないか)えっと…あ!肝心の部屋番号聞くの忘れた!!ど、どうしよ…」
ここまできて凡ミスを犯してしまった。
「(もう電話しちゃおうか…)」
そう思っていると階段を降りてくる音が聞こえた
「俺には無理だ!大人しく待っているなど、迷子になったらどうする!?」
「おい、待てよ!そのうち来るだろ、待ってなきゃ意味ないだ…」
二人と目が合う。
「あれ?宇随さん?あ、よかったー!部屋が分からなくて困ってたんです!ちょうどよかった!」