第2章 好きの違い
『も、もしもし?すみません、折り返し掛けてもらっちゃって…』
「おぅ、いいけどよ。どうした?」
宇随はニヤニヤと俺を見ながら話す
『あ、あのっ、杏寿郎の家を教えて貰えないですか?』
ガタンっ
その言葉にドキリと身体が弾んだ。その拍子に近くにあったゴミ箱を倒してしまう
宇随が人差し指を口元にあてて『静かにしろっ』と目配せしてくる
「…っ、わ、わりぃ!!」
『い、いえ!大丈夫ですか?』
「お、おぅ!大丈夫だ、気にすんな!で、煉獄の家に何の用だ?」
『この間、汚してしまった服が仕上がったそうなので、明日にでも直接お礼を言って届けたいと思いまして…』
バンっ
その言葉にまたドキリとなり、壁に激突。
「……た、度々わりぃな。で、うーん…そう言うことなら教えてやるよ!…」
「ょもっ!!」
思わず声が出てしまい、慌てて口を押さえる。
『あ、ありがとうございます!じゃ、住所をメールで送ってもらえますか?あと、明日は何時頃にお仕事終わりそうですか?』
「頼むから明日は一緒に仕事ではない」と言ってくれとジェスチャーを送る、が全く理解してもらえず…
『そうだな、明日はまたフラムの近くの現場だから、19時って言ったら家には帰ってると思うぞ?』
あぁ、なんてことだ。どうすればいいのだろう。こんなことは初めてだ。一人で切り抜ける自身など毛頭ない…
『わかりました。ありがとうございます!では、失礼します』
電話を切り終えると、すぐにメールを打ち始める宇随。
そして送信してしまった。
なぜ、俺に一言送ってもいいか?と確認をしないのだ。
そして、現在に至る。
「煉獄。こうなったら腹くくれ。もう自分の気持ちには気付いたんだ、あとは陽奈子とどう接していくかで、お前の恋路は進んでいくだろうよ。俺も応援してやっからさ!」
親指を突き立てて、ぐっと前に出す。
「頼む、宇随。俺はお前が頼りなんだ…こんなこと初めてで自分でもどうしていいかわからず、陽奈子を傷付けてしまうかも知れない…」
「…そりゃ確かにあり得るな。ま、この宇随様に任せとけって!」
宇随の前に正座をし、頭を下げる
「よろしく頼む。」
こうして俺の初恋は始まったのだった。