第2章 好きの違い
「この間、汚してしまった服が仕上がったそうなので、明日にでも直接お礼を言って届けたいと思いまして…」
そう言うと、今度は何かにぶつかる音
『…バンっ!……た、度々わりぃな。で、うーん…そう言うことなら教えてやるよ!…『ょもっ!』』
なぜか声のトーンが楽しそうな宇随さんの後ろで、今何か聞こえたような…声が小さくて聞き取れなかったけど、気のせい?
「あ、ありがとうございます!では、住所をメールで送ってくれますか?あと、明日は何時頃にお仕事終わりそうですか?」
『そうだな、明日はまたフラムの近くの現場だから、19時って言ったら家には帰ってると思うぞ?』
19時…お店を閉めてから、片付けをすればそのくらいだ。ちょうど良さそう。
「わかりました。ありがとうございます!では、失礼します」
そう言って通話終了ボタンを押す。
「(宇随さん家ってなんか飼ってるのかな?)」
そんなことを考えながら家に向かって歩き出す。
家に着いて、お風呂に入り、ご飯を食べ終わるとスマホをチェックしてみる。宇随さんからはメールが来ていた。だけど、まだ杏寿郎からは返信がない。
「うーん、ホントに大丈夫かな…?」
~杏寿郎side~
「どうして家を教えたのだ!!俺はどんな顔をして陽奈子に会えばいいのだ!!」
あまりの出来事に落ち着けず、つい大きい声を出してしまう。
「まーまー、いいじゃねーか!お前もやっとその気になれたみたいだしよ!」
からかうように笑いながら宇随は言う。
「でも、やっとお前にも春が来たかぁー…長かったなー、俺はお前は一生恋愛なんて経験しないんだろうかと心配したぞ」
「俺自身もとても驚いている!こんな気持ちなんだな、人を好きになる、特別で大切にしたいと想える相手が出来るというのは…」
そう、フラムでの出来事を何が起きたのかわからず、宇随に相談していたのだ。
~回想~
これからどうすれば、と話をしているタイミングで陽奈子からの突然の電話。メールには気付いていたが、それどころではなかった。
電話も出ることが出来ず、余計にパニックになっているところで宇随の電話がなり、その相手が陽奈子だと知ったのだ。もう落ち着いて要られなかった。
宇随が電話をかけ直し、スピーカーにして俺にも聞こえるようにする