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し ん あ い【鬼滅の刃/煉獄/R18】

第2章 好きの違い



~杏寿郎side~



「ねぇ、杏寿郎!お願いがあるんだけど、いいかな?」

「む?俺に出来ることであればいいぞ?」

ニコニコと微笑みながら陽奈子は言う。

「杏寿郎のその髪を、触らせて貰えない?」

何をお願いされると思ったが、そんな簡単なことだった。

「うむ!構わんぞ、ほら!」

少し前屈みになり、頭を突き出す。
すると小さめな手が俺の髪を優しく掬う。

「ぅわぁー!思ってた通り!ふわっふわぁ~!髪、柔らかいね?」

優しく掬っては指先で遊んでみたり、頭を撫でてみたり…心地いい。
そうされていると、俺が陽奈子にしていた頭をポンポンとしていた時を思い出す。

「(俺も弟になっていたらこのような気持ちになっていたのだろうか?)」


何度も触っているうちに、陽奈子が「あ、そっか。」と何かを思い出したように呟いた。


「わかったよ、杏寿郎。ずっと思い出せなかったんだけど、今わかったよ。
杏寿郎は昔飼っていた猫に雰囲気が似てるんだ。もう何年も前に亡くなっちゃったけど…」

そう言われたので顔を上げると目の前には陽奈子の顔。
視線が合うと、にこりと少し悲しそうな顔をしながら微笑み「このクセのある毛質とかね?」と言ってくる。


ぶわぁぁっ


その途端、鳥肌にも似た何かが俺の身体を走り抜ける。
顔が熱い。そして心臓が口から出そうな程うるさい。


「(な、なんだこれは!?!?)っ!?」

陽奈子は猫の話に夢中で気付いていない。

「それでね、帰ってくると必ず玄関で待っててくれてね、ずっと私にくっついてきててー…」

いくら気持ちを落ち着かせようとしても、胸の鼓動は納まることはない。顔の熱も冷めることはない、むしろ陽奈子を見るたびにドキドキしてしまう。

初めての感覚に戸惑っていると陽奈子がそれに気付く。

「杏寿郎?どしたの?」と俺の顔を覗いてくる。

「よ、よもっっ!!!」

勢いよく後退りをしてしまう。

「大丈夫?なんか、変だよ?あ、どら焼賞味期限切れてたとか!?」

そんな話すら耳に入ってこない。
どうしていいのかわからなくなってしまった。

「…っ、す、すまない陽奈子、用事を思い出したので、今日はこれで失礼する!!」

と、嘘を付いて店から逃げるように走り去った。

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