第20章 しんあい *
子供達の成長はあっという間で、毎日が新しいことの発見だった。それが順調に育ってくれてる、と思うとすごく嬉しかった。
いつものように子供達を杏寿郎と寝かし付ける。
「おやすみ、パパとママの大好きな誠寿郎、愛。」
「誠寿郎、愛。いい夢を見るんだぞ」
男の子は誠寿郎(せいじゅろう)、女の子は愛(いとし)。
産まれる前に2人で決めた名前を愛おしそうに呼ぶ。
スヤスヤと眠る可愛い寝顔に、釣られるように私の目蓋も落ちて行った。
ふと、目が覚めると寝室にいた筈の杏寿郎の姿がなかった。気付くと私には布団が掛けられていて、風邪をひかないようにと杏寿郎が掛けてくれたみたい。
その優しさにふっと小さく笑みが溢れた。
リビングにでもいるのかと、そっと子供達を起こさないように寝室を後にした。
「杏寿郎…?」
ソファにもたれ掛かるようにして、規則正しい寝息を立てて眠っていた。
杏寿郎も疲れてるよね…
そっと毛布を掛けると「んぅ…」と身を捩った。
「ふふっ…いつもありがとう」
起こさないようにそっとキスを落とし、その場から離れようとしたらぐぃっと腕を捕まれた。
咄嗟の事でバランスを崩し、逞しい胸にポスンと身体が沈む。
「お、起きてたのっ…?」
「いや、今起きた。君からキスをされたからな」
「っ、ごめ…」
無防備な時にしてしまったことを謝ると、ぎゅっと抱き締められて耳元で囁かれる。
「謝ることはないぞ?嬉しいからな…」
「そ、そっか…」
少し身体を離されて、今度は杏寿郎からキスをされた。
はじめは軽いものだったのに、そのうち何度も角度を変えて深いものに変わってくる。
「んんっ…ふっ、ちょ…杏寿郎っ」
「君は……したいとは思わないのか?」
したい?それは暫くご無沙汰だった、夫婦の営みと言うこと…?
もう既に熱がこもった瞳で見つめられると、身体が熱くなってしまう。
「子供達…産まれてからなかなかそういう時間、作れなかったしね…」
腰に回された腕をぎゅっと引き寄せられると既に硬くなったものが太股に当たっているのがわかった。
それを感じ取ってしまったら、普段は母として過ごしていたはずの、私の女の部分が出てきてしまう。