第20章 しんあい *
家に帰っていつ切り出そうかと考えながらネットを見ていたらいいものを見つけた。
カレンダーを確認すると、数日後にはクリスマスイブが待っている。
「ふふっ、今年のクリスマスは一生の思い出になりそう…」
当日。
オフの私は杏寿郎が仕事から帰ってくる前に準備を進める。バレるんじゃないかとヒヤヒヤすることもあったけど、何とかやり過ごせた。
夜になり、2人で小さなクリスマスパーティーを始める。
「メリークリスマス、陽奈子!」
「メリークリスマス、杏寿郎」
グラスを鳴らせて乾杯すると飲み物を口にする。
杏寿郎にお酒を進められたけど「寝ちゃいそうだから」なんて嘘をついて誤魔化した。
「で、早速なんだけど…杏寿郎にプレゼント、渡してもいいかな?」
「早いな、勿論構わないが。今年は何を貰えるのだろうな?」
ソファの下に隠しておいた小さな平たい箱を渡す。
「さぁ、何だろうねぇ~?開けてみて!」
杏寿郎がそっと箱の蓋を開ける。
そこには封筒を入れておいた。
「む?手紙、か?」
「ふふっ、もっと…いいものだよ?」
「手紙以上のものとは一体な………」
封筒から写真を取り出して杏寿郎は固まってしまった。それに追い討ちをかけるように、側にあるケーキの箱も開けて目の前に置く。
そのプレートには……
『メリークリスマス パパ』
そう書いて用意していた。
杏寿郎は写真、ケーキ、私。と何度もそれぞれに視線を向ける。その表情はとても驚いていて、でもそれもすぐに笑みに変わり急に正座をして私に向き直る。
「陽奈子っ…ありがとう!!とても素敵なプレゼントだ!」
私を力一杯抱き締めてくれた。ぎゅうっと腕に力が入っていて、少し痛い。
「杏寿郎…ごめ、ちょっと痛い」
「っ!?す、すまない!あまりにも嬉しくてっ、腹の子は大丈夫か!?」
「大丈夫だよ。ふふっ、パパは心配性だね~?」
そういってお腹を撫でると、私の手にそっと手を重ねてきた。そして今度は優しく抱き締めて、小さな声で囁いた。