第19章 誓いと常夏の島 *
~煉獄side~
窓の外から見える景色に隣にいる陽奈子は興奮しっぱなしだ。
「うわぁ~!見て杏寿郎、綺麗な海!」
俺達は新婚旅行に来ている。
飛行機から見下ろす景色は、一面透き通った青い海が広がっていた。
「あぁ、綺麗だな」
「楽しみだね!」
その笑顔が可愛くて愛おしくて。キスしてしまいたい。
だが、ここは機内だ。
焦る気持ちをずっと抑えているのはなかなか辛いものがある。早く二人きりになりたいと、思い切り抱き締めたいと気が競ってしまう。
なぜ俺がこんなに競っているかと言うと、2週間前に社長から頼まれたあることが原因だ。
……─────
「出張、ですか?」
「旅行前なのに悪いね、煉獄くん。ここは一つ、頼むよ!先方も君を指名してくれたんだ、いい仕事をしてくれる、とな!」
旅行前だと言うのに、このタイミングで出張とは。
だが、指名される程嬉しいことはない。
─────……
出張から帰ってきたのは一昨日で、1週間ぶりに帰った陽奈子を堪能したかった。だが、その日は慰労会と無理矢理連れていかれ、帰る頃には日付が変わってしまっていた。
当然、陽奈子には「疲れてるからダメだよ」と制され、お預けを食らってしまった。
昨日は昨日で「明日からずっと一緒にいれるから」とまたやんわりと断られてしまったのだ。
「ホテルも楽しみ!美味しいものもいっぱい食べようね?」
「っ、…そうだな!」
すぐにでも抱きたい衝動を抑え、早く二人きりになりたいと思うのだった。
「こちらがお部屋になります」
部屋に案内をされて、ようやく二人きりになれた。
「みてみて杏寿郎!外にプライベートプールがついてる!!」
先程からあちこち部屋の隅々まで見て回る陽奈子。
俺は俺で、一秒でも早く陽奈子を抱きたくて仕方なく、身体が疼いてしまっていた。
窓の外からは海も見え、それに夢中になっている陽奈子を後ろから抱き締める。
「杏寿郎、海も見えるよっ、…っ?!」
「やっと…君に思う存分触れられる」
後ろから顎を掴んで夢中でキスをする。
段々と角度をつけて深いものに変えていくと、小さく声が漏れた。