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し ん あ い【鬼滅の刃/煉獄/R18】

第19章 誓いと常夏の島 *




結局、度数がかなり強そうなお酒を差し出された。それでも「ありがとう!」と嬉しそうに一言、それを受け取ってグラスに口を付けた。

勢いで一気に飲み干しそうと思い、止めようとしたけど間に合わず…
気が付けば空になったグラスが私の目の前にあった。


この後、酔いつぶれてしまわないか…
まぁおめでたい日だし、たまには羽目を外してもいっか。

そう思いながら、楽しそうにしている杏寿郎の横顔を眺めた。
後に「たまにはいいか」と思った自分に後悔するなんて、思いもせずに…



ふとテーブルに視線を移すと、オードブルが幾つか置いてあってその近くにフレンチトーストが一口サイズにカットされてある。可愛くて加工されていて、ハート型になっているそれをお皿に取り、パクリと口へ放り込む。

ほんのりとした甘さが広がって、つい頬も綻ぶ。
もうひとつ口に運ぼうとしたところで、杏寿郎が顔をずいっと近付けて来た。


「何を食べているんだ?」

「フレンチトースト。ハートになってて可愛いの!」

「うむ、本当だ!では俺もひとつ頂こう」


食べようとフォークに刺していた、フレンチトーストを大きな口でパクリと食べてしまった。



「こ、こっちにありますけど!?」

「君から食べさせて貰いたかった!う~ん、…何かが足りんな…」


顎を掴み、足りないものが何なのか考えている。
確かに足りないものがあるかもしれない。でも、私はこのままでも十分美味しいと思うけど…


「なるほど!!」


足りないもの、それが何なのか閃いたようでフレンチトーストの側にあったボトルを手に取る。


「これだな、足りないものは!」

「あ、はちみつ。そう言えばかけてなかった。でもこのままでも…んぐっ!?」


杏寿郎に顔を向けると口の中へフレンチトーストを押し込まれた。


「うまいだろう?」

「んん…お、おいしいです…だけど不意打ちは止めて…?」

「むっ、なぜだ?」

「いや、いきなりはびっくりするし、それに…ひゃあ!?」


話の途中で、口端をペロッと舐め上げられたせいで変な声が出てしまった。
慌てて口元を手で覆い、杏寿郎を見ればとても満足げに口角を上げていた。その頬は少し赤く染まっている。


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