第19章 誓いと常夏の島 *
挙式が終わり、披露宴となった。
披露宴では、それぞれ挙式での衣装を少しアレンジしてもらった。
杏寿郎は胸に差していたお花を、ブルーのハンカチに替え、私はベールを外し髪と共にパステルカラーのリボンを編み込んで貰った。
そして、大好きなガーベラの花がたくさん使われた花冠を乗せる。
「陽奈子は本当に花がよく似合うな!」
「そう、かな?ありがとう…」
「それに腰に巻かれたこの青いリボン…君の細い腰回りが引き立つ!」
腰に腕を回されて、ぐいっと引き寄せられたかと思うと、耳元で囁かれる。
「…このまま連れ去りたいと思う程、綺麗だ陽奈子。」
「きょ、杏寿郎っ!」
「冗談だ!まぁ、半分は本心だがな!」
そんな事を言いながらも手を差し伸べられる。
その大きな手を握り、皆が待つ披露宴会場へと向かった。
スポットライトを浴びながら入場すると、温かい拍手で迎えられる。
宇髄さん達のテーブルの前を通り過ぎるときに「よっ、色男!色女!」なんて声をかけられ、照れながら席に着く。
司会の進行で友人スピーチになると、新郎側は宇髄さん。
宇髄さんのスピーチは、本当に杏寿郎の事を大切に思っている。そんな気持ちがたくさん込められた温かい言葉ばかりだった。
職場ではすごく真面目に仕事をこなし、周りからの信頼がとても厚い事。惚気話をされた話や、本当に心から私を想ってくれてるって事。
私に「世界一幸せ者だな!」なんて言葉もかけてくれた。
新郎側のスピーチのはずなのに、私の方が泣いてしまった。
それくらい、心がじんわりと暖かくなるスピーチだった。
「宇髄らしいな!…っ陽奈子!?」
「ご、ごめっ…なんか、嬉しくて…暖かいなって」
「あぁ、そうだな。ほら、顔を上げてくれ」
側にあったハンカチで頬を伝う涙を拭ってくれた。
それに気付いた宇髄さんが再びマイクの前に立つと「人前でいちゃつくのも、この二人の特技なんで」なんていつものように茶化す。
その言葉で会場はどっと笑いに包まれた。
私の方のスピーチはもちろん綾ちゃんだ。
スピーチが始まってすぐに綾ちゃんが泣くものだから、釣られて私まで大号泣。