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し ん あ い【鬼滅の刃/煉獄/R18】

第18章 代わり映えのない日々に花束を




「お義父さん、お義母さん…そして千寿郎くん。昨日、杏寿郎さんが私の両親に結婚の挨拶をして下さいました。私の両親は、杏寿郎さんと私との結婚を快諾して喜んでくれています。まだまだ未熟な私ではありますが、杏寿郎さんと協力し合って、温かい家庭を築いていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします!」


そう言って、陽奈子も頭を下げる。
何も言われないまま、暫くすると父上が一つ咳払いをした。


「杏寿郎、陽奈子さん。頭を上げてくれ。」


ゆっくりと頭を上げると、3人揃って優しく微笑んでいる。
この表情からすると、承諾して貰えたと言うことだろうか…


「陽奈子さん、こんな倅だが、どうかよろしく頼む。」


そう言って今度は父上が深々と頭を下げると、母上も頭を下げた。
それを見ていた千寿郎も、慌てるようにペコリと頭を下げてくれた。


「父上、母上、千寿郎…ありがとうございます!陽奈子と共に、幸せな家庭を築いていきます!!」

「ありがとうございます…!」


また頭を下げると、母上がクスリと小さく笑う。


「ふふっ。これではキリがありませんね?」

「そ、そうだな…一先ず、これで終いにしよう。陽奈子さん、すまないが杏寿郎を少しの間借りるぞ?」

「え…?あ、はい!」


父上に「ついて来い」と言われ、その後を追う。







父上の部屋に入ると、懐かしい香りが鼻を擽る。


幼い頃、ここでよく父上に本を読んで貰っていたな…


そう懐かしんでいると、押し入れの引き出しから小さめな木箱を取り出した。


「杏寿郎、これが何か分かるか?」

「…わ、分かりません!」


組んでいた腕をその木箱へと伸ばし、蓋を開けた。
そこには古びた時計が顔を覗かせる。


「父上、これは…?」


「俺が若い頃、愛用していた時計だ。これを是非、お前に受け取って貰いたい」


時計に向けていた視線を父上に向けると、その眼差しはとても柔らかい。
とても大事に使われていたのだろう、止まってはいるものの特に目立った傷はなく、今にも動きそうな程だ。


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