第18章 代わり映えのない日々に花束を
次の日、俺達は煉獄家に来ていた。
結婚の報告をする為に。
予め連絡を入れておいたからか、腕組をした父上が玄関口に立っていた。
その事に驚いていると、今度は母上…そしてその後ろに千寿郎と続けて、家族総出で出迎えてくれた。
「父上!…母上!それに千寿郎まで!」
それが嬉しくて、つい大声を出してしまった。
こっちに気付いた父上が目を見開いて驚いたかと思うと、背中を向けて先に家に入ってしまった。
「父上…」
余り良くは思っていないのだろうか…
不安で表情が曇ると、陽奈子が服の裾をくいっと掴む。
「お義父さん…恥ずかしいんだよ、きっと。」
「むぅ…そうだろうか…」
「だって、ほら…」
陽奈子が父上の背中を指す。
よく見ると、父上の耳は真っ赤になっていた。
「なるほど!照れていたと、そう言うことか!悪い方へと捉えていたが…」
「ふふっ。照れ隠しだったんじゃない?お義父さん意外と可愛い所、あるんだね?」
そう小さく笑った愛らしい表情に、先程の不安は一気に消えていった。
部屋に通されて、千寿郎がお茶を出してくれた。
そのまま出ていこうとすると、父上が口を開く。
「千寿郎、お前もここに。…大事な話だ。」
「父上…?で、ですが…」
「杏寿郎、陽奈子さん。いいだろうか?」
そう言われて、断る理由もない。
寧ろ、千寿郎にもちゃんも聞いて貰いたかった。
兄の結婚の報告を…
「勿論です!千寿郎、ここに居てくれるな?」
「兄上…はい。それではお邪魔させて頂きます。」
少し申し訳なさそうにしながら、母上の隣に腰を下ろすと、本題へと切り出す。
「昨日、彼女のご両親にご挨拶に伺い、結婚の承諾を頂きました。本日は改めて結婚の報告に参りました。
俺達2人はこれから結婚をして、幸せな家庭を作っていきたいと思っています。どうか俺達の結婚を認めて下さい!」
父上と母上、千寿郎に向かって深々と頭を下げる。
そして続けて陽奈子も口を開いた。