第2章 好きの違い
「そうだよ?乙女心はなかなか難しいんだから!」
冗談っぽく笑って見せる。
「あ、着いたね。ありがとう!ここまでで…」
"もう大丈夫"っと言おうとすると、杏寿郎もなぜか改札まで行こうとする。
「…きょ、杏寿郎?」
「あぁ、この間のこともある。家まで送っていこう。もう夜も遅いしな」
「え、大丈夫だよ!今度は入り口に立たないようにするし!」
また気を遣わせてしまうと思い断ると
「いや、俺がそうしたいのだ!家まで送らせてはもらえないだろうか?」
そう言われてしまうと断れない。
「う、じゃぁお願いします」
電車を待っている間、今私が何を練習しているかとか、弟さんの話をしてくれたり、色んなことを話した。
電車が来ると以外と混んでいた。
扉が開くと同時にどっ、人が降りてくる。
「陽奈子、こっちだ。」
ぐいっと腕を掴まれると、バランスをぐずし杏寿郎の腕のなかにぽすっと入ってしまう。
「わっ…ぷ!」
「大丈夫か?」
ふと顔を上げると杏寿郎の燃えるような瞳と視線がぶつかり合う
「…っ!!だ、大丈夫!ありがとう…」
ドキドキと心臓がうるさい。
こんなにも高鳴るのは…なぜなんだろう…?
あの時と同じ気持ちな気がするけど、また…
「!席が一つ開いている、陽奈子座りなさい」
昔の嫌な記憶が蘇りそうになると、杏寿郎の声で引き戻される
「いいよ、杏寿郎が座って?」
「男ならば女の子に席を譲るものだろう?」
にかっと杏寿郎は笑って半ば強引に座らせる
「ごめんね?でも、ありがとう」
「気にするな。家はいくつ先の駅で降りるんだ?」
「3つだよ。職場から近くてすごく助かる!あ、そう言えば、私不死川さんと同じ駅周辺に住んでるんだ」
「そう言えば、この間不死川がそんなことを話していたな」
そこから話しは不死川さんのことで持ちきりになった
あんな怖い顔をしているがお年寄りに親切にしてくれること、捨て猫を拾って家で買っていること、酔っぱらって熱くなりすぎて義勇さんと取っ組み合いになったこと、色んな話を聞いた。
「やっぱり、優しい人なんだね。そういえば義勇さんとはどんな関係なの?」