第18章 代わり映えのない日々に花束を
沙那ちゃんはとっても聞き分けのいい子だな。
小さな手から少ししわくちゃになったカードを受け取ると目を通す。
『あなたは私の最愛の人。 駅に向かってくれ』
また嬉しくなるような、少し恥ずかしいような言葉にじんわりと心が暖かくなる。
「ごめんね、陽奈子ちゃん!沙那がぐしゃぐしゃにしちゃって…折角、煉獄さんからの贈り物なのに…」
「うぅん!沙那ちゃんが渡したかったんだよね?ありがとう!お姉ちゃん、嬉しいな!」
そう言って沙那ちゃんの頭を撫でると、またキャッキャと嬉しそうに笑った。
3人に手を振って別れ、駅へと向かう。
そこには炭治郎くん、善逸くん、伊之助くんの3人が待っていた。
「あれ…?お、おはよ!こんなところでどうしたの?」
「陽奈子さん!おはようございます!」
「陽奈子ちゃんおはよう!」
「やっと来たか!俺様は待ちくたびれた!腹減った!」
待ちくたびれたと言うことは、私を待っててくれたってことだろうか。
「ご、ごめんね?あの、杏寿郎から何か…」
「はい!これを預かってます!」
炭治郎くん達の後ろからガサッと音がして、杏寿郎からの預かった物を差し出される。
「わぁ、綺麗~!ありがとう!」
今度は9本のガーベラ。
その花達に埋もれるようにカードが差してある。
『いつまでも一緒にいて欲しい。 宇髄達の車に乗ってくれ』
これって…もしかして…もしかしなくても、やっぱりそうだったりする?ちょっと期待…いや、ちょっとじゃなくて、かなり期待してしまっている。
宇髄さんの車にって書いてある。
何処かで待っててくれてるのかなと、キョロキョロと辺りを見回す。
「宇髄さん達なら、あそこで待ってます!陽奈子さん、早く行ってください!」
そう炭治郎くんが指差すと、その先には見慣れたワゴンが一台停まっている。
「皆、ありがとう!行ってくるね!」
宇髄さん達が乗っているワゴンに近付くと、まきをさんがこちらに気付いて窓から手を出して手招きする。
「陽奈子ちゃん、こっちこっち!おはよう!はい、乗って?」
「お、おはようございます!すみません、朝から…」
「あいつの頼みだ。ド派手な俺様が一肌脱いでやるよ!」