第17章 海と夏祭り ＊

「なんで？と言いたそうな顔だな！」

「いや、そう思うでしょ！なんでそこに…？」

「ここに入れておけば、何時何処で何があっても問題ないだろう？後輩が持ってきた、水着姿の女が表紙の本にそう書いてあった！それと財布に入れておくと、金が貯まるとも書いてあったな！」


この間、後輩が現場に持ってきたその本にそう書いてあった。
出先でそんな雰囲気になったら、俺は止められる自信がないし、お預けを喰らうのもなかなか辛いものがある。着けない訳にはいかんだろうし…


「水着姿のって…もう、ホントに男の人ってエッチなことばっかり考えてるんだから！」

「それは仕方ないだろう？好きな人を常に求めてしまうのは、男の性だからな！」


そう言って陽奈子を抱き締めると、顎を掴んで唇を重ね………ようとしたら、人の声が聞こえてきた。


「杏寿郎！こっち！」


慌てて物陰に隠れた勢いで、バランスを崩してしまう。


「っ…陽奈子、大丈夫か？」

「だ、大丈…夫…きょ、杏寿郎！手がっ…」


倒れそうになった勢いで陽奈子の身体を庇ったせいか、俺の手には柔らかい感触。


「む…？すまない…まぁ減るものでもあるまい？」

「そう言う問題じゃ…ぁっ！」

「すぐ側に人がいる。声は我慢してくれ…」


そう言って唇で口を塞ぐと、近くに人がいるにも関わらず、後ろからやわやわと小ぶりの胸に触れる。


「ここ凄く眺めいいじゃん！」

「だな！人もいないし、ラッキー♪」


カップルだろうか？２人の会話ははっきりと聞こえる。つまり、物凄く近くにいると言うことだろう。
そんな会話を耳に入れつつも、浴衣の合わせに手を滑り込ませる。


「…ぁ、んっ…だ、め…聞かれちゃ…」

「君が声を我慢出来れば、気付かれることもあるまい。俺としてはその可愛い声をもっと聞きたいがな？」


下着の隙間にスルリと手を入れると、少し硬く尖った先を爪でピンッと弾いてやる。


「やぁっ！……っ！！！」


唇を噛んで声を抑えていたが、これには堪えられなかったようで陽奈子の口から嬌声が漏れてしまった。


「あ…！！」


それと同時に男が声を上げた。
陽奈子はバレてしまったかと、顔を真っ赤にして、瞳にはうっすら涙を浮かべている。