第17章 海と夏祭り *
~煉獄side~
ゲームが終わると各々休憩を取る。
丁度飲み物を切らしてしまったから、じゃんけんで買い出し組みを決める。
見事に俺と陽奈子が負けてしまった。
いや、俺は陽奈子と一緒なら嬉しいが。
「んじゃ、負け組!よろしくな~♪」
「うぅ…ここでも負けるのね…じゃ、行ってきます…」
そうして飲み物の買い出しに出る。
少し歩いて、皆が見えなくなるとそっと陽奈子の手を握る。
「人も多い。こうしておけばはぐれないで済むだろう?勿論、それは口実だがな!」
「ふふっ、もう。繋ぎたいなら素直にそう言えばいいのに」
そう言いながら、陽奈子は嬉しそうに笑っている。
海の家はかなり込み合っていて、なかなか飲み物を調達するには時間がかかりそうだ。
「すごい人だね…あ、そう言えば、離れたところに自販機あったよね?そこで買う?」
「うむ!その方が良さそうだな!」
自販機まで行くと、ほとんど人気はなかった。
陽奈子が皆から頼まれた飲み物を思い出すように、自販機の前で腕組をしている。
これはチャンスなのではないだろうか?
今、正に2人きり。
胡蝶が『楽しみは2人きりの時に』と言っていたが、今がその時だろうか…
「ねぇ杏寿郎、しのぶちゃんは何が…っ!!」
陽奈子が振り向くと、自販機に追い詰めるように両手を付いて逃げ場を塞ぐ。
突然の事で驚いているのか、目を見開いて固まってしまっている。
「きょ、じゅろ?ど、どしたの…?早く行かなきゃ皆ま」
「そんなに早く戻ることはないだろう?折角2人きりになれたんだ。俺の為に買ったという、その水着を見せて欲しいんだが?」
顎をくいっと掴むと、そっとキスを落とす。
「んっ…ちょ、っと!!誰かに見られちゃうかも知れないよ!?」
「別に構わない。それより、返事はどうなんだ?君が見せないと言うのなら…俺は勝手に見るが…」
片手で腰回りに腕を回して後ろから抱き締める。
ラッシュガードのジッパーに人差し指を掛けて、ゆっくりとその指を下ろしていく。
ジジッと音を立てながら指を下ろしていくと、陽奈子らしい可愛いフリルがあしらわれた水着が顔を覗かせる。