第17章 海と夏祭り *
宇髄さんが提案してきたゲームはペアを組んで、水鉄砲を使った謂わばサバイバルゲームのようなもの。
背中にテイッシュを張り付けて、それを水鉄砲で濡らされたらそのペアは失格という、勝ち抜き方式のゲーム。優勝したペアには景品があるらしくて、皆すごくやる気満々。
ホント、宇髄さんって皆を喜ばせるのが上手。
ペアは杏寿郎と私、宇髄さんとまきをさん、伊黒さんと蜜璃ちゃん、義勇さんとしのぶちゃん。
そして、余ってしまったからなのか、炭治郎くん、善逸くん、伊之助くんの3人でそれぞれ組まれた。
善逸くんは「なんで俺のチームには女子がいないの!?」って、すごく不服そうにしてたけど、女の子は数人しかいないから仕方なかったのかも…
不死川さんと玲愛ちゃんは審判役。
そして海でのサバイバルゲームが始まった。
丁度岩場があるところだったから、他の人に迷惑かからないように始める。
開始早々、私を狙ってくる宇髄さん。
「うわっ!ちょっと、宇髄さん!」
「これはな、戦争だぞ陽奈子。先手必勝だからな!」
「卑怯だぞ、宇髄!」
私を庇うように背中を向けてしまって、杏寿郎の背中はがら空き。
「もらったぁぁっ!!」
避けたはずだけど、宇髄さんの方が一枚上手だったみたいで杏寿郎の背中は一瞬でビシャビシャになってしまった。
杏寿郎は「しまった…」と少し眉を下げてションボリとしていたけど、守ってくれた…そう思うとそれが嬉しい。
「すまない…折角優勝を狙おうと思っていたんだが、呆気なく終わってしまった…」
「うぅん。守ってくれたんでしょ?嬉しかったよ!今度は皆を応援しよう?」
そうして、今度は熱戦を応援する側となり、皆でゲームを楽しんだ。
ゲームは宇髄さんとまきをさんの圧勝に終わってしまった。提案者が優勝しまうなんて、もしかして宇髄さんは初めから勝てると思っていたのかも…
最後まで残ってた義勇さんとしのぶちゃんは息がぴったりだったけど、負けたのに全然悔しそうじゃなくて、寧ろ2人で笑っていた。
なんだか…いい雰囲気。義勇さんもしのぶちゃんにあんな風に笑うんだ…
ちょっといいものが見れた気がした。