第17章 海と夏祭り *
~煉獄side~
ずっと楽しそうにしている陽奈子の横顔を見ていたら、つい手を握ってしまった。
「杏寿郎?」
「あ、いや、すまない。君が楽しそうにしているのが可愛くて、つい、な…」
その言葉に頬を染め、少しの間俯く。
少しすると下を向いたまま、口を開いた。
「杏寿郎!あ、あのねっ…その…」
「どうした?よもや…!月に一度のあれが…」
「ち、違うから…!…えっと、ね?…水着を…」
水着がどうしたのか。不思議そうに首を傾げていると、更に顔を赤く染めた陽奈子と視線が合った。
「杏寿郎に…私の、水着姿を…見て貰いたいなって…それで、喜んでくれたらいいなって…」
「っ!…うむ!楽しみにしているぞ!……だが、あまり君の肌を他の男に見せるのは妬けるな…」
尻すぼみしてしまい、陽奈子は最後が聞き取れずにいて、首を傾げている。
「いや、なんでもない。気にするな!」
今からを独占欲を剥き出しにしてどうする…
だが、見せたくないものは見せたくない。
出来れば独り占めしたい所だ。
海に着くまでの間、何か良い策はないか?と、一人悶々と考えていた。
ようやく海に到着して、各々着替えて海に入る支度を整える。
男は着替えが簡単だから、先に場所取りや荷物を下ろしていると、着替えを終えた女性陣がやって来た。
「お待たせ致しました。場所取りありがとうございます。」
「わぁ♡海なんていつぶりかしら!」
「………っ。」
陽奈子は胡蝶の後ろに隠れていて、全身を見ることは出来ない。だが、どうやら水着ではなさそうだ。
「さ、陽奈子さん?隠れてないで、ほら!」
「う、わっ!!」
胡蝶にトンッと強引に背中を押されると、躓いて転びそうになる陽奈子が俺の前に姿を現した。
その姿は上下共にラッシュガードを着ていた。
「陽奈子は水着ではないのか?」
「っ…そ、それなんだけど…」
言いにくそうにもじもじとしている陽奈子の後ろから、胡蝶がニコニコと満面の笑みを浮かべながらこちらを見ている。
「陽奈子さんの水着姿は、後程と言うことで♪」
「後程……?なるほど!そう言うことか!ありがとう、胡蝶!!」
どうやら胡蝶は俺の考えを汲んでくれたようだ。