第17章 海と夏祭り *
陽奈子の素肌を晒さない為に何か対策は…と考えていたが、こうすれば問題はなさそうだ。
胡蝶に礼を言うと、今度は耳打ちをしてきた。
「…お楽しみは、2人きりの方がいいかと思いまして。楽しみは後に取っておいた方がより良く感じるものですからね♪」
「うむ…そうだな!後程、ゆっくりと見せて貰うことにしよう!」
そう言ってまじまじと陽奈子を見つめていると、また陽奈子と視線が合う。
「う…そんなに見ないでよ。穴が空いちゃう…」
「安心しろ!穴は開かない!よし、早速海に入るとするか!!」
そう言って陽奈子を横抱きにすると、そのまま海へと駆け出した。
「ちょっと!杏寿郎、皆が…」
「釣られて来るだろう!さぁ、行くぞ!!」
陽奈子を横抱きにしたまま、バシャッと海水に浸かる。その海水が冷たくて気持ちがいい。
「つ、冷たっ!!!」
「ハッハッハッ!!気持ちがいいものだな!!」
海のなかで陽奈子を下ろすと、バシャッバシャッと海水をかけてやる。すると陽奈子も負けじと俺に海水をかけてくる。
その様子を見ていた皆が、交ざるように海へ入ってきて、皆で海水を掛け合いながら戯れる。
「きゃあ!陽奈子ちゃん、やったわね?!それっ!!」
「わぷっ!み、蜜璃ちゃん!ちょっと手加減して…」
「あら?!ご、ごめんなさいね、私ったら…力加減が…きゃ!い、伊黒さんったら、不意打ちなんてずるいわっ!えいっ!!」
久しぶりの海に皆はしゃいでいて、それがとても心地いい。こんなに子供の頃に戻ったように戯れるのも、たまにはいいものだ。
砂浜で待機している、不死川夫妻と、冨岡、胡蝶はこちらを微笑ましそうに見ていた。
暫く海のなかではしゃぐと、一旦休憩の為に砂浜に上がる。
水分補給をし終えると、胡蝶が陽奈子に日焼け止めを差し出してきた。
「陽奈子さん。はしゃぐのもいいですが、これは女性なら塗っておかないと駄目ですよ?後でヒリヒリしますしね」
「ありがとう、しのぶちゃん!」
日焼け止めを受け取ると、それを腕に塗り始める。
首を塗ろうとしたところで、陽奈子が「塗ってくれる?」と言ってきた。