第2章 好きの違い
「陽奈子は何を頼んだのだ?」
と、私が頼んだのだ飲み物を聞いてくる杏寿郎
「グレープジュースだよ!好きなんだ、これ。そういう杏寿郎はそれ、お酒?」
「うむ!俺はレモンサワーだ!さっぱりしていて飲みやすいからな!」
美味しそうにレモンサワーを飲む杏寿郎を見て、大人だなって思う。自分もお酒を飲めるようになったら杏寿郎と一緒に飲んでみたいな、と思う。
「ねぇ、杏寿郎はお酒強いの?」
気になったので問い掛けてみる
「む?宇随よりは強くはないが、それなりに呑めるとは自分で思っている!」
「そうなんだ!お酒って飲むとどんな気持ちになるの?」
「…どういう気持ち…?むぅ…そんなことは考えたことはなかったが、いざ聞かれると難しいな。」
うーん、と腕組をしながら酔うとどんな気持ちになるかを考える
「気持ちが昂る。と言えばいいのだろうか…とても気分がよくなるな!」
そう教えてくれた。
「気持ちが昂るって、例えるとどんな感じなの?」
なんでかすごく気になるのでついつい質問責めになってしまう
「…む、むぅ…?そうだな…うむ!好きと言う感情に似ているだろうか!」
「好き?」
「そうだ!例えば、俺はさつまいもが好きだ!鍛練も好きだ!ここにいる皆も好きだ!あとは…むぐっ」
「も、もういいよ!分かったから!」
止まらなくなりそうになったので、手で口をふさいで止める
「要するに杏寿郎は酔うと好きって気持ちになるんだね」
「あぁ!どれも大切だ!君も好きだぞ、陽奈子!」
突然の告白に固まってしまう
「…へ?」
「だぁー!違う違う!こいつの好きはそっちの好きじゃねーよ。Likeの方だ!」
宇随さんが誤解を解いてくれる。
「む?!そっちとはなんだ!?好きなものは好きなのだ!そっちもどっちもないだろう?」
確かに宇随さんの言う通り、杏寿郎が思っている"好き"は"Like"の方だ。
本当に人を、異性を"好き"に、"Love"と言う感情を持ったことがないのだろうか。
あぁ、本当にこの人は恋と言うものがわからないのか…
天然記念物決定だな、これは。
と、心のなかで呟き、自分のグラスを手に取り、残っているグレープジュースを飲もうとする。
がしっ
「おーィっ!飲んでるかァ、陽奈子!」