第15章 衝突
「なんだよ、また何かあったのか?」
「宇髄…か。実はな…」
また、タイミングがいい。悩んでいればこうやってすぐに気付いてくれる。
店まで一緒だった宇髄にあの後の事を詳しく話す。
すると、宇髄は腹を抱えて笑い出した。
「ぶっ、はははっ!!んだよ、そんなことで喧嘩したのか?」
「なっ!?そんなこととはなんだ!こっちは真剣に悩んでいると言うのに…笑うことはないだろう。」
「ひぃー、腹いてぇ…わりぃ、でもよ。確かにお前の行動は勘違いされても可笑しくはねぇわな。」
勘違いする程、俺は信用がないのか…
俺がそんなことをすると思わせてしまった、自分への不甲斐なさに、腹が立つ。
また知らず知らずのうちに陽奈子を傷付けてしまった。
「陽奈子なら、悪い方に捉えて1人で悩みそうだし。まぁ、あいつが善逸と連絡取ってたのは、先に言って欲しかっただろうけどな?隠し事されんのは誰だっていい気はしねぇ。けどな、あいつが隠したくて言わなかったんじゃねぇと思うんだ。お前に嫌われたらどうしようなんて考えてそうだしな…それってお互いがまだ遠慮してるってことじゃねぇの?」
煙草をふかしながら夜空を見上げる宇髄の横顔は、男の俺ですら色男だ。と見惚れるほどだ。
「遠慮…とは、どういうことだ?」
宇髄に背中をバンッと叩かれた。
少し面倒臭そうな表情をしながら、俺の疑問に答えてくれる。
「んなこともわかんねぇのか?ったく。それだけお互い本音をさらけ出せねぇ仲だっつってんだよ!」
「さらけ、出せない仲…か。俺は、いつも陽奈子に真っ直ぐ気持ちを伝えていたと思っていたが…」
「お前が伝えてるのは、好きの度合いの方だろ。それにな、あいつの行動が可笑しかったのに、問い詰めなかった時点でそれは遠慮じゃねぇのか?」
それは確かに言えている。
だが、言い出しにくいことを無理に聞き出すのはどうも気が引ける…。
無理に聞き出そうとすれば、余計に言い出しづらくなるのでは…
と、そこで気付く。
なるほど、これが遠慮と言うものか。
確かにあの場で聞き出していれば、陽奈子を責め立てるような言い方はしなかっただろう。
自分のなかで悶々とするより、きちんと本音をぶつけることも時には大切と言うことか。