第15章 衝突
~煉獄side~
陽奈子が電話を切ってから、俺は呆然と立ち尽くしていた。
泥酔状態だった人を、ホテルに送っていっただけで、なぜ陽奈子はあんなに怒っていたのか。
もしや陽奈子は、俺に下心があったと思っているのか?その誤解は気分がいいものではないな…俺の気持ちを分かっていない。
これからその誤解をどう解くか、考え込んでいるとすっかり存在を忘れていた我妻少年に声を掛けられた。
「れ、煉獄さん…あの、陽奈子ちゃんのこと…すみませんでした…本当にすみません。謝って済む問題じゃないかも知れないけど、俺が連絡先聞かなければこんなことには…」
いつもの陽気でおちゃらけた姿は、今ではすっかりベッドの上で小さく縮こまっている。それも正座をして…
「君は…陽奈子のことをどう思っているんだ?陽奈子は友達と言っていたが…異性として、一人の女として、君は彼女の事を見ているのか?」
「そ、それはっ…確かに陽奈子ちゃんに初めて会った時、すげぇ可愛いなって思ってたけど…まだ好きとかそういう訳じゃなくて…」
そう言って更に身体が小さくなる。
我妻少年が陽奈子にそういう感情を抱いていないのは、どうやら本当の事のようだ。
「ならば…これからも、友達として陽奈子の力になってやってくれ。俺は知らない間に陽奈子を傷付けてしまっていることもあるだろう、今回のように…だから今日の事はもういい、気にするな。」
「で、でも!」
「いいから、気にするな。」
何度も詫びようとする我妻少年の頭を少し雑に撫でた。黄色い髪がボサボサになるくらいに…
正直、かなり嫉妬心があった。
その意味も込めて、またくしゃりと頭を撫でた。
「少し、外の空気を吸ってくる。君は先に寝ているといい。」
外に出ると、辺りはとても静かで夜空には眩いばかりの満点の星空が広がっている。
こんなに静かで、清んだ空気と綺麗な夜空は都会では味わうことは出来ない。
「はぁ~…参ったな。上手く行かんものだな…」
その夜空に癒されたのも一瞬。
大きな独り言を呟いてしゃがみ込む。頭を抱えて一人悶々としていると、後ろから声を掛けられた。