第15章 衝突
杏寿郎からだ!と急いで携帯を手に取ると、思い描いていた人物とは違って少しガッカリ。
画面には『善逸くん』と表示されている。
でも今は何もしないでいるより、話をしてれば少しは気が紛れるだろうなと思って電話に出る。
善逸くんには申し訳ないけど…
『あ、陽奈子ちゃん♡こんばんは!陽奈子ちゃんと話したくて電話しちゃったよ~!』
「こんばんは。善逸くんなんか声が遠い気が…外?」
『ううん、仕事で他県に来てるんだよね。山ばっかだから電波悪いのかも…あ、ねぇ!テレビ電話にしてもいい?顔見て話したいな~って…』
そう言われて少し悩んだけど、善逸くんの顔見たら少しは気分も晴れると思った。画面が切り替わると嬉しそうな顔をした善逸くん。
『わ~♡こうやって話すのいいね!こっちのが楽しい!』
それから暫く他愛もない話をしてたら、善逸くんが思い出した様に愚痴を溢し始めた。
『そうだ!聞いてよ~、さっきまで先輩達と飯食ってたんだけどさ!その店に酔っ払って泣いてる女の人がいてね?先輩の1人が「女が1人で泣いてるのは放っておけない」って言い出してさ~』
「優しい先輩だね。(杏寿郎もきっとそういう人みたら、放っておけないタイプだろうな…)」
善逸くんと話していても、やっぱり杏寿郎のことが気になる。
『優しいのかな?その先輩さ、声すげぇでかいんだよ…一緒の部屋なんだけど、朝っぱらからクソデカボイスで起こされそうな気がして今から憂鬱~…』
「ふふっ。いいモーニングコールだと思うよ?」
『えぇ~、やだよ!俺は陽奈子ちゃんに起こされたいよぉ…あ、でね!その後さ…』
それからその先輩がどうなったのか教えてくれた。
その女の人は泣きながら「5年も付き合った彼氏にフラれた」と言っていて、優しく声をかけてくれたその先輩にすごく絡んでいて、挙げ句に神経衰弱をやり始めたらしい。酔ってると色々とやりたいことが出てくるのかな…なんでトランプだったんだろう…
『でね!すっごくベロベロだったから、その先輩が女の人連れて帰ることになってさ!近くのホテルに連れていったんだけど…それってさ、色々とあれじゃん?』
そう話を振られると若干返答に困ってしまう。
だって、男女が一緒にホテルに行くって…そういうことだと思うし…