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し ん あ い【鬼滅の刃/煉獄/R18】

第15章 衝突




画面を確認すると、杏寿郎だった。
1日も経っていないのに、声ですら愛おしく思えた。


『陽奈子、仕事お疲れ様!もう家に着いたのか?』

「杏寿郎もお疲れさま!うん、今帰ってきたところ」

『そうか、今度冨岡に礼をしなくてはな!』

「そうだね。義勇さんのお礼、何がいいかなぁ……ん?なんか騒がしいね。お店?」


受話器越しに聞こえる杏寿郎の声の後ろから、ガヤガヤと賑やかな声が聞こえる。


『あぁ…それなんだが…会社の奴らが飲みに行きたいと言い出してな。今店に来ているんだが…』

「あ、そうなんだ。初日の慰労会だね!」


なんて笑っていると急に黄色い声が聞こえて来る。
鼻にかかったような、甘い声…


『あ~!もうお兄さんこんなところにいたぁ。早くあっちで続きしようよ♡あ、電話してるー。はい、没収~』
『むっ!?何を勝手に…』

「え、ちょっと…だ、誰!?」


そう聞き返した時にはもう電話は切られていて、通話終了の虚しい音だけが耳に入ってくる。


「誰、なの…?…続きって、何のこと…?」


頭の中で嫌なことしか過らない。
甘えた感じだった。杏寿郎を狙ってる…?


(あ、もしかしてキャバクラ、とか…?会社の付き合いだし、そのくらいはありそうだけど…)


露出度が高い服で、杏寿郎にボディタッチをしてる、と思うだけですごく嫌…
付き合いだから仕方ないのは分かる。だけど行くなら最初から言って欲しかった。後から聞くのはやっぱり嫌だな…
でも、それは私も同じ事。
善逸くんと連絡取り合ってることを話せてないのに、杏寿郎のこと言える立場じゃない。


だけど、どうしても真相を確かめたくて「今の女の人は誰?」とメールだけ送っておいた。返信がすぐに来るだろうと、淡い期待を抱いて…



だけど、いくら待っても返信はなかった。


お風呂に入って気分を変えようとしたけど、落ち着くどころか嫌な気持ちはどんどんと募っていく。
もう一度携帯をチェックしてみるけど、やっぱり返信はないまま。


「楽しんでたり…するのかな…?」


ポンッと携帯をソファーに投げて、ベッドに顔を埋める。
何もしてないと嫌なことばかり考えてしまって、どんどん不安になってくる…何か気を紛らわせることでもしようか、と考えていると着信音が鳴った。

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