第15章 衝突
「義勇さん!買い出し?」
「あぁ。誰だそいつは」
いつもと変わらない淡々とした口調で村田くんに視線を向ける。
「は、初めまして!!村田です!陽奈子ちゃ…陽奈子さんと同じ職場で働かせて貰ってます!」
義勇さんの冷やかな視線に怯えるように頭をまた深々と下げる村田くん。
「い、いや~…陽奈子さんの彼氏さんがこんなにイケメンだったとは!あ、俺用事思い出したのでこれで失礼しまぁぁすっ!!」
「え!?ちょっと、村田くん!」
誤解を解く前に村田くんは走って行ってしまった。明日会ったら、違うって話そうか…。義勇さんはなんだか少し嬉しそう…?
「義勇さ」
「まだ煉獄は帰って来ないのか?」
「あ…うん。実は…」
義勇さんにも私達が同棲していることはもう話はしていた。
今日から杏寿郎が2~3週間は出張で帰ってこれないことを話すと…
「飯はどうするんだ?」
「あ、これからだけど…何にも考えてないや」
「俺のところに来い。」
「え…でも、お店に迷惑じゃ…?」
確かに1人で食べるのは寂しいけど、営業中に行ったら大変なんじゃ…
「食いしん坊な奴一人に食わせる分くらい、作ってやれる」
「食いしん坊って…ぎ、義勇さん!私そんなに食べないよ!」
「ふっ、どうだかな?で、来るのか?」
「う…はい、お邪魔します…」
結局、1人で食べるのは寂しいから、今日は義勇さんのお店で食べることにした。こうやってからかってくるけど、なんだかんだ言って優しいんだよね…。
杏寿郎に連絡しとこ、心配性だから。
お店でご飯をご馳走になって、お礼にお店の手伝いをやらせてもらった。接客業だし、このくらいは朝飯前だ。
最後のお客さんを送り出すと、玄弥くんももう上がる時間で「お疲れっス」と言って帰っていった。お店には義勇さんと私だけ。
「こうやって義勇さんと話すの久しぶりだね?」
「そうだな。フィエルテの前が最後だな」
あの時は義勇さんに蜂蜜の件でお世話になったっけ…あの後が大変だったけど。
杏寿郎とのやり取りを思い出してつい、顔が熱くなる。
「顔が赤い…熱でもあるのか?」
「ち、ちちち違いますっ!!…あ、こ、このお皿はこっちの棚だよねっ!?」
拭いていた食器を棚に戻そうと背伸びをするけど、手が届かない。