第2章 好きの違い
お店まではそんなに遠くはないらしいので、みんなで歩いて行くことに。
道中他愛もない話で盛り上がっていた。
しばらく歩くと見慣れた風景だと、ふと気付く。
「あ、ここよ!みんな、早く早くぅー!」
蜜璃ちゃんがそう言うとあるお店の前で脚を止める
「あ、れ…?ここって……」
そう言うと杏寿郎が「どうかしたのか?」と私の顔を覗き込んでくる。
すると、こちらがドアを開ける前に、お店のドアが空いた。
ガラッ
「おっ!やってるかー!?ビールくれよ!」
「いきなりそれですか…?」
「悪ィな、邪魔するぜ、玄弥」
不死川さんがポンとその人の肩に手を置く。
このお店の常連なんだ…
「どうぞ中へ」
と、ぶっきらぼうに案内してくれたのは目付きが悪く頭は両側が刈り上げられている"玄弥"と呼ばれた怖そうな人だった。
中へ案内され入っていくと見慣れた店内に懐かしさを感じた。
そして、カウンターを挟み厨房で料理を作っているあの人は…
「おーい、とみっ」
「義勇さん!!」
宇随さんを遮り前に出て、話しかけた。
「…陽奈子?なんで、お前がここにいるんだ」
相変わらず表情が読めないこの人は、富岡義勇さんだ。
「この春からフラムで働かせてもらうことになったの!それで、今日は私の歓迎会をしてもらえることになって、そしたらまさか義勇さんのお店だっただなんて!!」
少し興奮気味に話す私を、みんながぽかーんと見てくる。
「あ、ごめんなさい!義勇さんとは少し前から知り合いで…私の友達のお兄ちゃんなんです」
あ、なるほど!だからって顔をみんながする。
「まさかお前がフラムにいるとはな」
「もうびっくりしたよー!」
義勇さんとは頻繁に会うことが多かった。
学生の時、友達と実技テストの練習や勉強をことあるごとにこのお店を借りてやっていたからだ。迷惑極まりない話。
「私達もまさか富岡さんと陽奈子さんが知り合いだったなんて思わなかったです」
しのぶちゃんも驚いていた。
一通り話したあと、私たちは席に着く。
なぜこの席に!?
右には不死川、左には杏寿郎。
こ、これはどうなる…私。
杏寿郎はともかく、不死川さんは何を話していいかわからない…
あ、そうだ。この前のお礼を…
「あ、あの!不死川さん、この間は助けてくれてありがとうございました!」