第1章 出逢い
そうにっこり笑って「気にしなくて大丈夫ですよ」としのぶちゃんは言ってくれた。
その時、オーナーもこの事を聞いていたようで「構わない、好きに使うといい」と言ってもらえたので、今日から残って練習会をすることになった。
それから何日か経ち、忘れそうになっていた歓迎会の話しになった。
「では、歓迎会は明日でいいですね?」
しのぶちゃんがみんなに確認を取る。
「陽奈子さん、明日は目一杯楽しんで下さいね!」
「ありがとう!すごく楽しみ!」
ドリンク練習に没頭していたので、歓迎会のことは忘れかけていた。
「何が出てくるかなー?あ、お店はお鍋がおいしいんだっけ?あーん、今からすごく楽しみすぎてお腹が空いてきちゃったー」
蜜璃ちゃんは食いしん坊だ。いや、大食いのがあってるか。
はじめて賄いを食べさせてもらったとき、蜜璃ちゃんの食べる量には驚いた。杏寿郎と同じくらい食べるのだ。なぜあの量を食べてもそのナイスバディを保てるのだろうか、全く羨ましい。
「蜜璃ちゃんさっきお昼食べたばっかりだよね?」
賄いをあれほど食べたあとなのに、お腹が空くとか胃袋どうなってんのよ…
そして次の日。
いつも通りにお店でお仕事、今日は歓迎会があるので練習会はお休み。
大勢でご飯が食べれるのが楽しみで、若干浮き足だってしまう。でも、余計なこと考えてミスをしないよう気を付けながら仕事をこなしていく。
そして、夕方になり今日は早めにお店を閉めることにした。
「それでは、みんなで向かいましょう!」
わいわいと店を出るとそこには一際目立つ3人組が立っていた。
「おぅ!お疲れ、やっと酒が飲めるぜー!早く行こうぜ!喉からっからっ!」
「お前は酒しか頭ン中ねぇのかよォ?」
「うむ、待ちくたびれたぞ!」
宇随さん、不死川さん、杏寿郎が立っていた。
私服は見たことなかったので、一瞬誰かわからなかった。
「そんなに待った?ごめんね?」
杏寿郎にそう謝ると、
「冗談だ」
と、ニカッと笑う。お日様のようなこの笑顔が好きだなって思うと同時に、何かに似ていることが未だに思い出せずにいるのだった。