第14章 ふくらみ…ふくらむ。 *
~夢主side~
ベッドでうとうとしていると、杏寿郎が迎えに来てくれた。眠たい目を擦って起き上がるとくすりと笑い声が聞こえた。
「んぅ…?なに…?」
「いや…可愛い、と思ってな。すまないな、疲れているのに無理をしてしまったようで」
「そんなことないよ?…誘ったのは、私だし…」
さっきの情事を思い出して、顔に熱が集まる。
そんな私を見てまたひとつ笑みを溢して、頭を撫でてくれる。
「ありがとう。さ、このまま寝てしまっては疲れも取れない。おいで?」
そう言って両腕を広げられると、杏寿郎に身体を預ける。ぐいっと横抱きにされ、布団で隠していた身体が露になってしまう。
「きょ、杏寿郎っ!下履いてないから、はずか」
「何度も言うが、今更だろう?それにこれから風呂に入るのに、服は必要ない」
その言葉に確かにそれはそうだな、と一人納得して大人しく浴室へと連れていかれた。
脱衣場で下ろされると「さ、上も脱ごう!」とバンザイされて衣服を脱がされる。煌々とした灯りの下で裸になるのは未だに慣れなくて、つい両腕で隠してしまう。
「隠すところは、そこだけでいいのか?」
「っ!!…も、もう!意地悪なんだからっ」
そう言って口端を上げて悪戯っぽく笑う杏寿郎には到底敵わないのだった。
浴室に入るとバスタブを覗いて驚いた。
「え!?泡!?」
「驚いただろう?宇髄から貰った引っ越し祝いがこれだったんだ。泡風呂なんてものは初めてだが、なかなかよさそうだろう?」
宇髄さんが…なるほど、あの時の不適な笑みはこういうことを意味してたんだ。
「私も初めてだよ!うわぁ、ふわっふわだね?それにバラのいい香り。あ、先に身体洗ってからがいいね。杏寿郎、髪洗ってあげるから座って?」
「うむ!頼むとしよう!」
杏寿郎が椅子に座ると、シャワーを出して髪をすすぐ。すると癖毛のもふもふの髪はみるみるぺしゃんこになった。シャンプーを片手に取ると濡れた髪を泡立てていく。
「うわ~、やっぱり柔らかいね。痒いところはございませんか~?」
「うむ!心地よいぞ!」
鏡越しに目を瞑って気持ちよさそう。なんだかあの時みたい…