第1章 出逢い
それを聞いた蜜璃ちゃんが飛び付いてきた。
「陽奈子ちゃーん!なんてホントにいい子なのかしら♡私はもちろん大歓迎よ!頑張ってる姿を全力で応援しちゃうんだから!」
素直に嬉しい。だけど毎回抱き締められるのは少し、困ると言うかなんと言うか…地味に凹むんです。
蜜璃ちゃんの豊満なお胸が羨ましくなるんです。
抱き付かれるのは嫌じゃないんだよ、うん。
ただ、ないからさ、私は…どうしてこんなにも違うのか、あぁ神様は意地悪だ…
なんて余計なことを考えていると、しのぶちゃん嬉しそうに応えてくれた。
「まぁ!それはお店側としても、とても嬉しいことです!週末は客足も増えますし、少しでも手があると助かりますので!」
しのぶちゃんは「では、早速今日から練習していきましょう」とメニューを持ってくる。
「オーナーから聞きましたが、基礎的な知識はあるそうですね?それでは説明しながら実践していきましょう」
こうして私のドリンク作りの練習が始まった。
今日はアオイちゃんが不在なので、しのぶちゃんに一通り説明を受けてから作っていく。
オーだーが入ると、できそうなものから教えて貰い、お客さんに出していく。
「ココアは牛乳を少し入れて………カップへ注いだら、ホイップをのせて、仕上げにココアパウダーを振りかけて完成です、さぁ、やってみましょう!」
言われた通りに作ってみる。
「そう、オッケーです!ばっちりですね」
しのぶちゃんは優しく微笑みながら誉めてくれる。
この人は教え方が上手だ。それに手際もいい。だからチーフなんだろうと改めて思った。
「エスプレッソマシンを使ったことはありますか?」
「あります!だけど、フォームミルク(ふわふわミルクのこと)が上手くいかなくて…」
学校ではそれを習ったがなかなか上手くいかないもので先生は「何事も実践して上手くなっていきますから」って教えてくれたけど、上手くできずに悔しい思いをしたことを思い出す。
「そうですね、ではお店を閉めてからエスプレッソマシンを使ったドリンクを練習していくと、言うのはどうでしょう?」
「え、でもいいの?オーナーにも悪いし、しのぶちゃんも時間外になっちゃうんじゃ…」
「私は構いません。お店のために頑張って覚えてくれようと努力してる姿は嬉しいですし、陽奈子さんは呑み込みが早いですから」