第13章 喜ばしき日
~夢主side~
同棲の許可を貰えてから2週間経った。
あれから引っ越しの準備を整えて、後は杏寿郎の家に引っ越すだけになった。
いつも通り出勤する為に、駅に向かっていると少し前で何やら揉めている3人組が…
「なんでなのぉ!?ねぇ!折角来たのに休みとかありえないでしょ!?」
「仕方ないじゃないか、休みなんだから。また今度来ることにしよう」
「えぇー!折角来たのに!?帰るの?ねぇ、帰るのぉ!?ちょっと伊之助!草、弄らないでくれるぅ!?」
どうやらフラムの2号店、フィエルテがお休みで揉めてるみたい。
「あ、あの~…すみません。」
「なんだよっ!何か用……!?」
「あ、ごめんなさい急に。折角来て頂いたのに、お店お休みでごめんなさい。もし、よかったらフラムの方は営業してるのでそっちに…」
言い終わる前に黄色い髪の男の子に手を握られた。
「お嬢さん、ここのスタッフの人なの?」
「(お嬢さん…?)え、あ、はい…あの、手…」
「あぁ、ごめんね。可愛くてつい…」
「こら、善逸!!何をしてるんだ!いきなり失礼じゃないか!!」
善逸と呼ばれたその男の子は、誠実そうな男の子に言われても尚、手を離す素振りはみせなくて、困っていると…
「あ、こら!伊之助も!!すぐに何処かに行こうとしちゃ駄目だ!はぐれたらどうするんだ?」
猪…?何かの獣みたいなキャップを被った子が何処かに行こうとしている。
なんだかとても…凸凹コンビな3人組。
結局、3人はまた改めて来ると言って去っていった。
折角来てくれたのに、申し訳ないなと思いながらお店へと急いだ。
今日はフラムへ出勤する日。
またお昼に杏寿郎達がご飯を食べに来ると聞いて、嬉しくなる。
「ふふ。陽奈子さん、本当に嬉しそうですね?」
「え?顔に出ちゃってる…?」
「恋する乙女だもの!見てるこっちも幸せになるわぁ♡」
そんな話をしながら、お昼を待った。
あんまり会えなかったから、少しでも会えるのが嬉しい。
お昼になるとお店に杏寿郎達がやってきた。
「邪魔するぜ」
「いらっしゃいませ。どうぞ?」
「陽奈子、身体は大丈夫か?引っ越しの準備、手伝えなくてすまないな」
眉を少し下げて、私の身体を気遣ってくれる杏寿郎の優しさに思わず頬が綻ぶ。